2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15700004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
水木 敬明 東北大学, 情報シナジーセンター, 助教授 (90323089)
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Keywords | 電子透かし / 電子指紋 / 結託攻撃 |
Research Abstract |
本研究は、電子透かしの安全性の評価に着目し、より現実に即した安全性評価基準を提案し、その評価基準のうえで優れた電子透かしコードを開発することを目的とするものである。今年度は、まず、既存の安全性評価基準のうえで未だ解決されていない問題に取り組んだ。また、その既存の安全性評価基準を包含するより一般的・汎用的な安全性評価基準の考案のため、Secret Guessing問題との関連性を解明した。具体的な研究実績は下記のとおりである。 1.1995年にBonehらが"完全t-安全"という電子透かし(電子指紋)の安全性評価基準を提案している。"完全t-安全"とは、高々t人が結託攻撃するときに、少なくとも1人の犯人を特定できることである。しかし、この安全性評価基準を満足する電子透かしコードは存在しないことが理論的に証明されているため、これまで多数の研究者により"完全t-安全"の定義が拡張されてきた。例えば、この定義を一般化して、p人中少なくともq人は犯人であるというようなp人を見付けることのできるときに、"(p,q)・安全"と定義することができる。本研究では、この安全性評価に関して、"(p,q)-安全"なコードが存在するための条件の改良に成功した。 2.Grahamらが提案したSecret Guessing問題と電子透かしの安全性評価との接点を探った。その結果、Secret Guessing問題において秘密を見付けることと、不正な電子透かしが発見されたときに犯人を特定することが、理論的に密接な関係を持つことが判明した。この成果は、Secret Guessing問題で既に得られている種々のアルゴリズムや手法を、コード長の短い電子透かしコードを開発することに適用できる可能性が極めて高いことを示している。
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