2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15700010
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮崎 修一 京都大学, 学術情報メディアセンター, 助教授 (00303884)
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Keywords | 安定結婚問題 / 研修医配属問題 / 安定マッチング / 希望リスト / 同順位リスト / 不完全リスト / NP困難問題 / 近似アルゴリズム |
Research Abstract |
安定マッチング問題とは、2つの異なるグループ間のマッチングを各個人の希望に基づき求める問題であり、アメリカやカナダなどで研修医を病院に配属するいわゆる医師配属問題に利用されている。日本では近年研修医制度が見直され、この安定マッチングに基づいた研修医配属が平成15年度から開始された。本研究は、安定マッチング問題を日本の研修医配属問題に応用する際に問題となる点を指摘し、それを解決することである。 日本の研修医制度では、研修医が約8,000人、研修プログラムが約1,000である。例えば希望リストにこれらの研修プログラム全てを全順序で書くという制約は現実的ではない。したがって、応用に際しては同順位を含む不完全リストを用いるのが自然である。しかし、そのように制約を緩めると、サイズの異なる安定マッチングが複数存在してしまうことがこれまでの研究により分かっている。平成15年度の目的は、できるだけ多くの研修医をマッチさせるアルゴリズムを開発することである。これに対して以下の成果を得た。 最大サイズの0.9倍以上の解を求める多項式時間アルゴリズム(これを近似率0.9のアルゴリズムと言う)が存在しないことを証明した(ESA2003)。すなわち、目標となる近似率は0.9よりも下に設定すべきであることが分かった。また、同順位の長さが2であり、研修医にしか同順位を書くことを許さない(すなわち、病院側のリストは全順序でなくてはならない)という条件下で、近似率0.625となる近似アルゴリズムを構築した(ESA2003)。さらに、同じ条件下で、乱数を利用することにより近似率が0.7まで良くなることを示した(COCOON2003)。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Halldorsson, M., Iwama, K., Miyazaki, S., Yanagisawa, H.: "Randomized Approximation of the Stable Marriage Problem"Proceedings of the Computing and Combinatorics Conference (COCOON2003). 339-350 (2003)
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[Publications] Halldorsson, M., Iwama, K., Miyazaki, S., Yanagisawa, H.: "Improved Approximation of the Stable Marriage Problem"Proceedings of the European Symposium on Algorithms (ESA2003). 266-277 (2003)
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[Publications] Halldorsson, M., Irving, R., Iwama, K., Manlove, D., Miyazaki, S., Morita, Y., Scott, S.: "Approximability Results for Stable Marriage Problems with Ties"Theoretical Computer Science. Vol.306. 431-447 (2003)
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[Publications] 岡本和也, 宮崎修一, 岩間一雄: "安定結婚問題に対する局所探索近似アルゴリズム"電子情報通信学会総合大会論文集. (発表予定). (2004)