Research Abstract |
近年の情報化技術の発達により,人工知能,データーマイニング,オペレーションズリサーチなど様々な分野で『離散構造を有する列挙問題』が解かれるようになってきた.しかしながら,これまで提案されているアルゴリズムのほとんどは,発見的なものであり,列挙の速度,領域,列挙の順序(例えば,重要なものから列挙する)などのアルゴリズムの精度保証がなく,問題例によっては,莫大な計算時間,領域が必要になる. 本研究では,まず,離散構造を有する列挙問題の構造解析を行うことにより,様々な列挙問題の計算の複雑さを明らかにするとともに,効率的なアルゴリズム開発を行う.このアルゴリズム開発においては,(A)(理論的な)精度の保証,(B)汎用性の高さ,(C)実用性,に重点をおく.また,高速化のために,ランダム化手法,並びに,並列,分散計算等の手法についても考察する.このような研究を遂行することで,離散構造をもつ列挙問題に関する基礎理論構築を目指す. 本年度は,無向グラフの極大クリーク列挙問題に対する高速な(現在のところ最速な)アルゴリズム開発に成功した.ここで,クリーク列挙問題は,データーマイニング分野における頻出列挙問題に関連して現れる応用上重要な問題である.また,本年度は,単調な論理関数の双対化問題に対する一般化である重みつき横断列挙問題が単調な論理関数の双対化問題と同じ計算時間,すなわち,準多項式時間で解けることを示した.
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