2003 Fiscal Year Annual Research Report
大規模非線形行列方程式を解くためのアルゴリズム実用化に関する研究
Project/Area Number |
15700016
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
向谷 博明 広島大学, 大学院・教育学研究科, 講師 (70305788)
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Keywords | 大規模システム / ナッシュゲーム / 大規模非線形行列方程式 / 不動点アルゴリズム / ニュートン法 |
Research Abstract |
本研究では,電力システムのような実システムのナッシュ均衡を実現するために解く必要がある大規模非線形行列方程式に対して,解を求めるためのアルゴリズム実用化を目的としている.まず,大規模非線形行列方程式の解の構造を陰関数定理によって明らかにした.その結果,低次元化されたシステムのリカッチ方程式と摂動項を含む連立型リカッチ方程式に対して,解の関係を新たに確立することができた.次に,得られた連立型リカッチ方程式の解の構造式を応用することによって,不動点アルゴリズムの適用を行った.解の構造を解析的に導出したことで,アルゴリズムの初期値が効率よく選択でき,計算に必要なワークスペースの低次元化に成功した.さらに,得られたナッシュ戦略による評価関数の劣化の程度を解析的に明らかにした.その結果,摂動項が十分小さい場合,ナッシュ均衡を保証することが示された.本研究で提案される最適ナッシュ戦略に対して,以下の有用な結果が得られた.i)実プラントのサブシステムの個数が幾つあっても,計算に必要とされる次元は各サブシステムの次元と等しい.これは例えば,4次元の行列サイズをもつサブシステムが100,200,...あっても,数値計算に必要な次元は4であることを意味している.ii)新たに得られた不動点アルゴリズムは,一次収束を保証する.したがって,摂動項の値が十分小さければ,収束解を必ず得ることが可能である.iii)提案された設計手法は,従来法と比較して,サブシステムの個数に制限がないので,様々な実システムに対して広範囲に適用可能である.本研究の目的は大筋で達成可能な見込みであるが,不動点アルゴリズムが一次収束であることを考え,収束速度を改善するため,二次収束を保証するニュートン法の適用を行っている.現在までに,二次収束の証明が完了しており,計算アルゴリズムの低次元化にも成功している.
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Research Products
(1 results)