2004 Fiscal Year Annual Research Report
ユーザの潜存的な要求を事前に汲み取ってデザインに反映させる手法
Project/Area Number |
15700091
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
郷 健太郎 山梨大学, 総合情報処理センター, 助教授 (50282009)
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Keywords | ソフトウェア工学 / ソフトウェア開発法 / 要求工学 / シナリオ / ユーザインタフェース |
Research Abstract |
システム開発の初期工程では,ユーザの要求を獲得して分析し,デザインに反映させることが必要である.しかし,これらの作業は現場での試行錯誤によって実施されており,系統的な手法が存在しないのが現状である.本研究では「ユーザの潜在的な要求を事前に汲み取ってデザインに反映させる」手法の確立を目指す.本手法では実際のユーザが中心となり,コーディネータの協力と与えられた具体的テーマの下で,製品の利用経験の抽出からデザインコンセプトの立案,利用シナリオの創造作業を経で,最終的な製品のデザイン案を作りだす. プロジェクト初年度の平成15年度には,大学生(工業デザインに関する教育を受けていないユーザ)の複数のグループと,プロのデザイナ(工業デザインに対して実際に業務を実施しているユーザ)に対して事例研究を実施し,問題点の抽出を行った.これらの事例では,フォト・エッセイ(テーマに基づく写真とその選定理由を説明した自由形式文書)によって,ユーザ自身が既存製品の利用経験を説明し,コーディネータとの協調の下で分析を行い,その結果から新しい製品のアイデアを利用シナリオという形式で表現した.そして最終的に,利用シナリオを支援する製品をユーザ自身がスケッチした.プロのシニアデザイナによる製品案の評価を実施した結果,提案手法が工業デザインに関する教育を受けていないユーザグループにも十分利用可能であり,斬新さと将来性の観点でプロのユーザグループと同等のアイデアを得られることが明らかになった.一方で,スケッチ作業についでは,両ユーザ間で大きな品質の違いがあるという問題点が生じた. この問題を解決するためにプロジェクト最終年度には,動画像とスケッチを用いで簡単にシステムのアイデアを表現できるシステムの提案と構築を行った.本システムのプロトタイプを用いて利用実験を実施し,その有効性を確認した.
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Research Products
(6 results)