2004 Fiscal Year Annual Research Report
災害救助エージェントにおける異種エージェントの効率の良い組み合わせと評価法の研究
Project/Area Number |
15700128
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 暢浩 名古屋工業大学, 工学研究科, 助手 (40314075)
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Keywords | マルチエージェントシステム / エージェントシミュレーション / ロボカップレスキュー / 災害救助 / ゲーム理論 / 実験計画法 / 異種エージェント / ロボカップ |
Research Abstract |
近年,マルチエージェントシステムが注目されている.マルチエージェントシステムとは,複数のエージェントが自律的に行動し,互いに作用しあって問題を解決するシステムである.マルチエージェントシステムでは,適切にエージェントを組み合わせることができれば,効率よく問題を解決できる.しかし,一般的なマルチエージェントシステムではエージェントの評価は難しい. マルチエージェントシステムのテストベットとしてRoboCupプロジェクトのサッカーシミュレーションおよびレスキューシミュレーションが利用されている.このサッカーシミュレーションの評価分析に関する研究分野では,試合全体の評価をおこない相手チーム,自チームの性質を分析するものや,有効な協調行動を取り出して分析するという研究が主流であるが、どれも有効な手段とはいえなかった.そこで初年度(平成15年度)は,対象環境としてRoboCupサッカーシミュレーションを考え,実験計画法によるエージェントの評価を検討した.評価には日本のいくつかのサッカーシミュレーションチームによって構成されるヘテロジニアスな協調エージェントチームOZを用いた.その結果を用いてエージェントであるプレイヤーの入れ替えをおこなったところ,チームが大幅に強くなり,実験計画法による評価は有効な方法であることがわかった. 初年度の結果を受けて,次年度である平成16年度はレスキューシミュレーションを対象環境として研究をおこなった.サッカーと災害救助は活動(または競技)に参加するエージェント数の違いや明確な役割分担などいくつかの点で異なるが,自律的な複数の要素の組み合わせである点では同じである.そこでサッカーで利用した実験計画法と,ゲーム理論で利用されるシャープレイ値を用いて,マルチエージェントシステムの評価をおこなった.シャープレイ値は一つの活動に参加する複数の自律的要素がどれくらい貢献しているかを示すことができる手法である.その結果,ロボカップレスキューシミュレーションでは実験計画法とシャープレイ値による方法では必ずしも分析結果が一致しないことがわかった.またそれぞれの分析結果を用いた方法でも必ずしもマルチエージェントシステムの能力を改善できないこともわかった.しかし,この一致しない部分に注目することにより,エージェントの改善をおこなった結果,マルチエージェントシステムの能力向上が確認できた.したがって,実験計画法およびシャープレイ値による複合的な評価方法は,マルチエージェントシステムの有効な手段の一つとして考えることができる.
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Research Products
(2 results)