2003 Fiscal Year Annual Research Report
映像の時空間変動のモデル化による屋外でのロバストな移動対象検出の実現
Project/Area Number |
15700154
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
波部 斉 京都大学, 工学研究科, 助手 (80346072)
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Keywords | 移動対象検出 / 時空間画像解析 / 主成分分析 / 背景差分 / 自己回帰モデル / セキュリティ / 監視装置 |
Research Abstract |
本研究の目的である屋外でのロバストな移動対象検出を実現するために,本年度は時空間変動モデルの有効性検証を行ってきた.その成果として得られた知見は以下のとおりである. 1.映像パターンの時間変動のモデル化 屋外シーンを撮影した映像のある特定領域の時間経過に伴う変動を詳細に解析したところ,1)映像のパターンが1次の自己回帰モデルに従う,2)そのパターンが画像上を滑らかに平行移動する,という条件が成立したときに,映像パターンの変化は局所的に線形モデルで近似できることが明らかになった.この近似が成立する環境では,背景のパターンの変動と移動対象による変動を容易に識別することが可能になり,簡便かつ頑健な移動対象検出が実現可能になると期待される.具体的には,着目した領域の微小時間間隔でのパターンの変化を観測し,その変化が線形モデルで近似できるか否かを評価する尺度を定義し,背景領域の変動と移動対象の存在を識別する.今年度はこの考え方に基づく手法の予備実験を行い,その基本的有効性を確認した. 2.階層的木構造モデルによる空間的な変動の記述 1.でモデル化した変動はあくまである領域に着目したときの時間的な変動である.人が事象を観測するときにはより広域の整合性を検証し,個々の観測結果の統合や例外的な観測結果の排除を行っていると考えられる.このことを効率よくモデル化するために,階層的木構造モデルを用いて,空間的な関係を記述するモデルを考案した.このモデルでは,画像領域に対応付けられるノード間の親子関係が,画像上の包含関係に相当するようになっているので,各ノードに対応する観測結果を空間的構造に応じて統合することができる.このモデルは,1.で述べたモデルをベースとして構成するものであるため,現在はその基本的な有効性が確認できた段階である.今後.1.の結果を踏まえて検討を進めていく.
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