2003 Fiscal Year Annual Research Report
カテゴリカル色知覚の色恒常性における照明の空間的要因の解明
Project/Area Number |
15700179
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
横井 健司 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (10345374)
|
Keywords | 色恒常性 / カテゴリカル色知覚 / 色覚情報処理 |
Research Abstract |
様々な照明変化に対しても安定して色を知覚できる色恒常性メカニズムについて,高次の色知覚であるカテゴリカル色知覚を指標とし,様々な照明条件に対してカテゴリカル色知覚の色恒常性がどの程度成立するのかを心理物理実験により測定し,加えて,照明光のどのような空間的性質が影響しているのかということについて実験的解明を試みた. 1.任意照明呈示実験ブースの構築 従来のように蛍光灯や単色プロジェクタに光学フィルタを用いて色度などを調整する方法では,任意の照明色度や照度を作り出すことが難しいだけでなく,照明光の空間的な形状や大きさ,不均一テクスチャなどを再現することが極めて困難である.そこで,照明光の色度・照度・空間的性質(形状・大きさ・テクスチャ)を任意にコントロールするため,高精度のデータプロジェクタをコンピュータにより制御することで仮想的に任意の照明光を作り出すことが可能な任意照明呈示実験ブースを構築した. 2.照明光サイズの影響測定 本年度は,まず照明光のサイズがカテゴリカル色知覚の色恒常性に与える影響を定量的に求めた.実験では,ブース内全体をテスト照明で一様に照明する全体条件から,徐々にテスト照明光の範囲を縮め,最終的に色票部分にのみテスト照明が当たるスポット条件までの実験条件を行った.その結果,テスト照明光のサイズが増加するにつれてカテゴリカル色知覚の色恒常性が高まる傾向が得られた.さらに,テスト照明のサイズがごく僅かであっても比較的高い色恒常性が得られたことから,色のカテゴリーが日常環境においてもかなり安定して知覚され,物体を識別する際に極めて有効な手掛かりとなっている可能性が示唆された.
|