2004 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化による動物行動の動力学的特性とその適応的意義に関する研究
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15700188
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
右田 正夫 滋賀大学, 教育学部, 講師 (70335157)
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Keywords | 自己組織化 / 動物行動 / 柔軟性 / イトマキヒトデ |
Research Abstract |
前年度までに,イトマキヒトデ(Asterina pectinifera)の歩行時における管足運動を画像データ化した.本年度,データ解析を通じて以下の知見が得られた. ・イトマキヒトデの歩行時の運動活性には腕間で差異が見られるが,この差異が運動時の極性(形態上均質な5本の腕のいずれかが先導すること)をもたらす.各腕の運動活性は,基本的に静止画像中に記録された管足の本数(活動中の管足数)によって定量化することができる.しかし,管足運動と腕運動との関係は,以下に記すように単純ではない. ・イトマキヒトデの歩行においては,1本,ないし,2本の先導腕が観察される.管足運動の推進力への貢献度を評価するため,画像上の管足数と腕の移動速度との相関を調べた.1本の先導腕による歩行の場合には強い正相関が見られたが,単一の先導腕においては,この相関関係は有意でないか有意であるとしても弱められている.これは,単一の先導腕における管足運動が隣接し合う管足同士の衝突によって阻害されることによるものと考えられる. ・従って,中枢神経系を持たないイトマキヒトデにおいて,5本の腕の運動,および,1本の腕につき60本以上も存在する管足の運動は,自己組織化過程によって実現されるものであるが,腕運動の自己組織化と管足運動の自己組織化のそれぞれを実現する機構は,階層的に組み合わされ相互に影響を及ぼし合うものである. ・本研究で得られた知見に関して,国際会議The 8th International Multi-Conference on Systemics, Cybernetics and Informaticsにおいて研究発表を行なった.また,論文を執筆しBioSystems誌に投稿した.
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