2003 Fiscal Year Annual Research Report
エスニック・マイノリティにおける情報メディアの活用の地域間比較
Project/Area Number |
15700209
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
北村 順生 新潟大学, 人文学部, 助教授 (20334641)
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Keywords | エスニック・メディア / メディア論 / グローバリズム / マス・コミュニケーション |
Research Abstract |
本年度の研究においては、まず、日本国内で外国人を主な対象として提供されている情報メディアの全般的な状況について実態調査を行った。その結果、情報メディアの発展に応じて、エスニック・マイノリティ向けメディアの形態も多様化していることが明らかになった。新聞や雑誌などの活字メディアに加えて、CS放送やラジオの外国語放送、あるいはコミュニティ放送の中にも、外国人を主な対象とした多言語のチャンネルや番組が存在している。また、インターネットのウェブ・ページやメーリング・リスト、あるいは携帯電話向けサイトの中にも外国人向けの情報サービスが多数登場している。しかし一方では、これらのエスニック・メディアは必ずしも安定的に拡大しているわけではなく、新たに生まれてはすぐに消えていくものも多い非常に不安定な状態であると言える。CS放送は放送事業として一般的に継続性が要求されるが、その中でも事業を休止したエスニック・チャンネルも出てきている。 また、本年度は首都圏および関西圏という外国人居住者の多い地域でエスニック・メディアを展開している複数のメディア事業者に対する聞き取り調査を行い、事業実態の事例研究を行った。各事業者が活用するメディア媒体に応じて事業環境や条件は当然異なっているが、いずれもメディア特性を十分に考慮して、当該エスニック集団の必要に応じた情報を提供していこうという意識が強いことが共通している。さらに、一部で外国人向けメディアの利用実態についてもメディア接触の状況等について調査を行った。 今後は、外国人居住者がそれほど多くない地域での情報メディアの活用状況も含めて調査することで、地域間比較へと研究を発展させていく予定である。
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