2005 Fiscal Year Annual Research Report
核磁気共鳴機能画像法(fMRI)を用いた自己知識の多次元性・多面性に関する研究
Project/Area Number |
15700223
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
堀内 孝 岡山大学, 文学部, 助教授 (00333162)
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Keywords | 自己知識 / 自己記述課題 / 自伝想起課題 / 他者知識 / 核磁気共鳴機能画像法(fMRI) / 事象関連電位(ERPs) / 前等前野内側部(MPFC) |
Research Abstract |
本研究の目的は,自己知識の多次元性・多面性について脳機能の観点から検討を行うことである。この目的を達成するために平成17年度は以下の実験を行った(実験番号は前年度からの通番号)。 実験5:前年度のERPを使用した実験4では,500-700msの後期成分において,Fz,Cz,Pzのいずれの部位に関しても,現実自己条件,社会的自己条件>理想自己条件という結果が得られた。この結果は,理想自己に関する処理は,現実自己や社会的自己に関する処理と活性化のパタンが異なることを示しており,その理由として,理想自己に関する判断は感情成分を多く喚起することが考えられる.H16年は,実験4の成果を踏まえ,空間分解能に優れる核磁気共鳴機能画像法(fMRI)を使用し,現実自己と理想自己の活性化パタンの違いに焦点を当てた実験を行った。具体的な実験デザインは,判断の種類からなる1要因3水準実験参加者内計画(現実自己条件,理想自己条件,意味条件)で,各条件には性格特性形容語30語ずつが実験参加者間でカウンターバランスを行ったうえで割り当てられた。各試行に対してfMRIデータを取得し,SPM2を使用した分析を行った。意味条件をベースラインとし,現実自己条件および理想自己条件の活性化量を評価したところ,差分"現実自己-意味処理"と差分"理想自己-意味処理"の間に活性化部位の明確な違いは認められなかった。 理想自己条件では,性格特性形容語が"理想の自分"にあてはまるか否かの判断を求められるが,理想自己は本来個性記述的であり,個人感情に密着したものである。それ故,本研究が使用した課題では現実自己との部位間の違いが特定できるほどの感情成分が活性化しなかった可能性が示唆される。
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Research Products
(2 results)