2004 Fiscal Year Annual Research Report
非侵襲的脳機能画像法からみた顔と人名の連合学習機構に関する認知神経科学的研究
Project/Area Number |
15700226
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
月浦 崇 独立行政法人産業技術総合研究所, 脳神経情報研究部門, 研究員 (30344112)
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Keywords | 記銘 / 想起 / 非侵襲的脳機能画像法 / 人名 / 海馬 / 側頭葉先端部 / 連合プロセス |
Research Abstract |
当該年度でも前年度と同様に、顔と人名の連合学習に関する神経基盤を非侵襲的脳機能画像法を用いて検証した。顔と人名の連合学習を行う場合に重要となるのは顔と人名という2つの記憶アイテム間の連合プロセスである。そこで本年度は最初に2つ以上の記憶項目間を連合して記銘した場合に単にひとつずつの記憶項目を記銘した場合と比較して後の記憶想起における成績が変化するか、そして記憶想起時の神経活動がどのように変化するかを、機能的磁気共鳴画像を用いて検証した。さらに、記憶記銘時の記憶項目間の連合を自ら作る場合と最初から連合関係を実験者によって与えられた場合とで、後の記憶想起の成績ならびに想起時の神経活動パターンが異なるのかを検証した。その結果、連合して記銘した記憶を後に想起する場合、単にひとつずつの記憶項目を記銘した場合と比較して後の想起成績が向上し、さらにその際に左海馬領域(海馬・海馬傍回)の神経活動が増加することが示された。また、自分で記銘時に連合関係を作って記銘した場合に実験者によって与えられた連合を記銘した場合と比較して、後の記憶想起の成績が向上し、その際の左右の海馬領域(右は海馬・左は海馬と海馬傍回)の神経活動が増加することが示された。これらのことは、記銘時の連合プロセスと自分で連合関係を作るプロセスによって記憶の定着が促進され、その結果として記憶の想起プロセスに関連する海馬領域の活動も変化することを示唆している。この成果はNeuroImage誌(IF=6.192)2005年3月号に発表された。また、人名の想起に関連する側頭葉先端部の役割について、これまでの申請者の研究成果も含めて文献的考察を行い、その成果を総説として月刊「言語」に発表した。
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Research Products
(3 results)