2004 Fiscal Year Annual Research Report
ベルンシュタイン多項式に基づく統計的推測理論とその時系列への応用
Project/Area Number |
15700228
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
柿沢 佳秀 北海道大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (30281778)
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Keywords | 定常過程 / スペクトル密度 / ベルンシュタイン多項式近似 / カーネル密度推定 |
Research Abstract |
本研究は時系列への応用を目指しているが、ベルンシュタイン多項式に基づく関数推定問題は独立同一分布を想定した母集団分布(密度)関数や回帰モデルにおける回帰関数など、いわゆる「関数のノンパラメトリックな統計的推測」の中に位置づけられる。独立同一分布の密度関数の推定(レフリー付きジャーナルJNSに掲載)との類似点もあるが、時系列解析の典型例である定常過程のスペクトル密度推定問題への接近法としてベルンシュタイン多項式近似理論を応用した。連続関数なスペクトル密度は周期関数で原点対称であるから、[0,π]上のベルンシュタイン近似が適用され、ベルンシュタイン多項式を重みとするような推定量の属(古典的に議論されてきたダニエルによるスペクトル推定量の線形結合)を考察し、さらに、ダニエルによるウィンドウ関数を一般的なウィンドウ関数に替えることで、ダニエルによるウィンドウ関数の最適性が示された(なお、通常の核関数型推定量ではダニエルによるウィンドウ関数(コンパクトな区間で一様な核関数)が最適ではなく、2次関数な核関数が最適である)。一方では、漸近的な分散の振る舞いは原点近傍と内点ではオーダーが違っていて、特に、標本サイズに依存かつ原点に収束するような位置におけるベルンシュタイン関数推定漸近理論には注意を払う必要がある。正規過程だけではなく非正規な誤差が混合されている状況でも数値実験を試みたことで数学理論の把握に留まることなく、同時にベルンシュタインスペクトル推定量では原点付近にピークが現れる傾向(これは正規か非正規ということが本質ではなく、ベルンシュタイン近似法のある意味での欠点ともみられる)から、さらに局所的なベルンシュタイン多項式次数の選択法の改良の必要性を認識した。
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Research Products
(1 results)