2004 Fiscal Year Annual Research Report
歪みをもち裾の重い誤差分布を用いた回帰分析法の開発
Project/Area Number |
15700242
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
柳原 宏和 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 講師 (70342615)
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Keywords | 非正規性 / 歪度 / 尖度 / 頑健性 |
Research Abstract |
現在提案されている検定などの統計的手法のほとんどは、観測値は正規分布から抽出されたものであるという仮定の下で提案されている。しかしながら近年盛んに行われている、ゲノムや環境データのように明らかに正規性を満たしていないデータも多く存在する。実際には正規分布に従っていないデータに正規性の仮定の下で提案された手法を適用した場合、推定量が外れ値に引っ張られたり、検定のサイズが非常に大きくなったりと深刻な問題を引き起こすことがある。本研究の目的は歪度と尖度をパラメーターにより自由に変えることの出来る、ある意味セミパラメトリックな密度関数を定義しその密度関数に基づいた尤度関数によるパラメーター推定や検定等のより非正規性の影響を受け難い新しい回帰分析法の開発にある。まず、Yanagihara, Tonda and Matsumoto(2005)で観測値に正規性を仮定したときの共分散行列に関する検定統計量の漸近分布を非正規性の下で導出した。この漸近分布は真の母集団の多変量尖度に依存する形となり、本研究が有用であることを確かめた。また、漸近展開などにより非正規性の影響を除去することも可能である。Fujikoshi, Yanagihara and Wakaki(2005)では正規性を仮定した下での多変量回帰モデルの変数選択における情報量規準のバイアスを真の分布が一般分布であるとう条件の下で補正した。また、t-検定統計量の帰無分布は真の分布の歪度と尖度の影響を受けるが、Yanagihara and Yuan(2005)でこれらの影響を受けにくくするような単調変換公式を提案した。しかしながら、この公式を実際使う場合には歪度、尖度を推定しなくてはならない。ところが、歪度はそれほど極端ではないが、尖度は非常に大きい標本数がなければ、推定は難しい。これらのことを非正規多変量線形モデルにおいてシミュレーションにより明らかにし、漸近展開に基づくが補正法には限界があるため本研究が有用であるということを確かめた。
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Research Products
(3 results)