2003 Fiscal Year Annual Research Report
ウィルス感染における蛋白質に誘導された細胞膜融合動力学の計算機による研究
Project/Area Number |
15700248
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Research Institution | The University of Aizu |
Principal Investigator |
LUKAS PICHL 会津大学, コンピュータ理工学部, 講師 (10343394)
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Keywords | 細胞膜 / MCシミュレーション / 量子化学 / レトロウイルス / MRD-CI / Molecular Dynamics / Preintegration complex / VPR蛋白質 |
Research Abstract |
本プロジェクトは、コンピュータシミュレーションに基づき、細胞生体膜とウイルス粒子のペプチド誘導融合に関する新しい研究を目指すものである。現在は、膜融合プロセスの動力学の解明には間接的な方法のみが用いられている。それゆえ現実的なコンピュータシミュレーションは、膜融合の理論的モデルと実験による知見の解釈のギャップを埋めるものとなる。本プロジェクトは、ひとつの大規模なシミュレーションフレームワークの中での脂質集合動力学(細胞膜)とタンパク質の折り畳み(グリコシル化された表面タンパク質)の合成に基礎を置く。シミュレーションモデルのパラメータは生物医学実験と計算機化学の手法に立脚する。 理化学研究所 分子ウイルス学研究ユニット 間先生と浬原先生との共同研究を初め、HIV-1アクセサリー遺伝子産物であるVprタンパク質の核膜移行シミュレーションを解析ターゲットとした。Noguchi-Takasuの細胞膜シミュレーションモデルを作成した。また、福島県立医科大学において、タンパク質構造の専門的な知識をアドバイスして貰った。今後、我等が作成した計算方法を用いた結果と、福島県立医科大学において得た実験結果との比較を検討していく予定である。 Vprタンパク質の3次元の構造データについては、PDBにより計算を行っている。量子化学のMRD-CIアルゴリズムを使い、多原子分子の電子状態をlinuxクラスターにより、分裂計算の開発をした。膜融合ペプチドのalpha-helix 3D構造シミュレーションを、現在の実験結果を使用し可能なものとした。マルチ・キャノニカル・アルゴリズムによるタンパク質の立体構造を開発した。Leap-frogの微分方程式を解くアルゴリズムの安定化ファクターを求めた。 以上の手法により得られた理論的なメカニズムと定量的なデータは、抗ウイルス薬の設計において極めて基礎的なデータを提供するものである。更には、Vprタンパク質が、核膜に誘発する非安定化を計っていくものである。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] L.Pichl, R.J.Buenker, M.Kimura: "Calculation of cross sections for proton and antiproton stopping in molecules"Advances in Quantum Chemistry. (Accepted In print). (2004)
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[Publications] L.Pichl, S.Zou, M.Kimura, I.Murakami, T.Kato: "Total, partial and differential ionization cross sections in p-H collisions in the energy region of 0.1 keV/u - 10 keV/u"Journal of Physical and Chemical Reference Data. (Accepted In print). (2004)
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[Publications] L.Pichl, P.-A.Fayolle, A.Watanabe, M.Kimura, H.Sato: "Visualization of ionization process in two Coulomb center systems versus validity of the saddle point hypothesis"Journal of the 3D Forum Society. Vol.7 No.4. 27-32 (2003)
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[Publications] T.Kusakabe, M.Kimura, L.Pichl, R.J.Buenker, H.Tawara: "Observation of significant difference between charge transfer in collisions of H+ ions with H2 and D2 molecules in high-eV to low-keV range"Physical Review A. Vol.68. 050701:1-050701:4 (2003)
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[Publications] Imai, Kimura, Gu, Hirsh, Buenker, Wang, Stancil, L.Pichl: "Ab initio study of one- and two-electron transfer processes in collisions of Ne(2+) with He at low to intermediate energies"Physical Review A. Vol.68. 01276:1-01276:8 (2003)
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[Publications] Ngassam, Motapon, Florescu, L.Pichl, Schneider, Weiner: "Vibrational relaxation and dissociative recombination of H2+ induced by slow electrons"Physical Review A. Vol.68. 032704:1-032704:8 (2003)
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[Publications] S.Zou, L.Pichl, M.Kimura, T.Kato: "NIFS-DATA-SERIES-71 (ISSN 0915-6364)"National Institute for Fusion Science. 1-47 (2003)