2004 Fiscal Year Annual Research Report
運動知覚を伴わない運動成分による運動残効と運動視の神経回路モデル
Project/Area Number |
15700249
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
平原 誠 法政大学, 工学部, 助手 (30328918)
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Keywords | 運動視 / 運動残効 / コヒーレンス閾 |
Research Abstract |
運動残効(MAE)とは,一方向に運動する刺激(順応刺激)に順応した後,方向に偏りのない刺激(テスト刺激)が順応方向の反対方向に運動しているように知覚される現象である.従来研究では順応刺激の内の知覚を伴った運動成分への順応によって生成されるMAEに焦点が当てられていた(例えば,Mather,1980;Verstratenら,1999). 本研究では順応刺激の内の知覚を伴わない運動成分に着目した.例えば,等間隔x degで並ぶ線分が微小時間(フレームタイム)Δt sec毎に左へ微小距離Δx deg移動する低速刺激には,知覚を伴う左方向への低速成分(Δx/Δt dps)だけでなく,知覚を伴わない右方向への高速成分(x-Δx)/Δt dps)も含まれている.もし後者が前者と同様に検出されているとすれば,それを検出するセルの感度は長時間の刺激呈示により低下することが予想される.この効果がテスト時に運動知覚を司るサイトにまで届くとすれば,その高速成分とは反対の左方向MAEが,すなわち,順応方向と同じ方向のMAEが生じると考えられる. この仮説を検証するために,本研究では等間隔に並ぶ垂直線分の左(または右)方向への低速運動を順応刺激とし,順応前後でのコヒーレンス閾を計測した。その結果,テスト刺激が高速の場合,コヒーレンス閾は順応方向と同じ方向で著しく低下し,順応方向の反対方向に偏ったテスト刺激でさえも順応方向と同じ方向に動いているように錯視されることが確認された.テスト刺激が低速の場合には,まったく逆の現象が生じた.低速チャネルでは知覚を伴う低速成分への順応が,高速チャネル内の運動検出レベルでは知覚を伴わない高速成分への順応が,それぞれ別々に生じたものと考えられる.
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Research Products
(4 results)