2003 Fiscal Year Annual Research Report
神経幹細胞の自己再生、多分化能および生着能におけるサーカディアンリズム機構の解析
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15700260
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
守屋 孝洋 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (80298207)
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Keywords | 神経幹細胞 / 細胞周期 / サーカディアンリズム / 時計遺伝子 / 体内時計 / ピリオド遺伝子 / 再生医療 |
Research Abstract |
体内時計が24時間周期の生理リズムを生み出す分子的機構は、ピリオド遣伝子などの時計遺伝子が形成する転写・翻訳のネガティブフィードバックループであることが明らかになってきた。一方、神経幹細胞は自己再生能とニューロンやグリアへの多分化能を併せ持った未分化な細胞であり、その広範な応用性と供給の安定性から再生医療の分野で注目されている。しかし、神経幹細胞の諸機能における日内リズム性については報告が皆無である。私は時計遺伝子によって駆動される体内時計システムが、神経幹細胞の自己再生能や分化および移植時の生着能力に関与しているのではないかと考えるに至り、神経幹細胞における体内時計の役割を明らかにすることを最終目標として実験を行った。 ニューロスフィア法にて、胎生15日目のマウス線条体より神経幹細胞を培養し実験に用いた。1週間増殖させた神経幹細胞を遠心分離によって回収し、培養ディッシュあるいは培養プレートに播種し、神経幹細胞の増殖因子である上皮成長因子EGFによって刺激を与えた。増殖刺激後、4時間ごとに3日間連続で生細胞数測定アッセイ(WST-8アッセイ)、DNA合成アッセイ(BrdUアッセイ)およびRNA抽出、細胞の固定を行い、神経幹細胞の自己再生能や時計遺伝子の発現の時系列を詳細に検討した。 その結果、上皮成長因子EGFによる増殖刺激によって、神経幹細胞のDNA合成能と生細胞数の増加率は明瞭な24時間のリズム性を示した。また、時計遺伝子ピリオド2のmRNA量も24時間周期で変動していた。さらにピリオド2タンパク質量も24時間周期で変動しており、このタンパク質レベルでのリズム位相は、細胞増殖リズムに比較して180度反対位相であった。これらの実験より、神経幹細胞の自己再生能は時計遣伝子ピリオド2の抑制的調節を受け、24時間周期のリズム性を有していることが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Nishitani, S., Moriya, T., Kondo, Y., Sakuma Y, Shinohara K.: "Induction of Fos immunoreactivity in oxytocin neurons in the paraventricular nucleus after female odor exposures in male rats : Effects of sexual experience."Cell Mol Neurobio. (発売予定). (2004)
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[Publications] Sudo, M., Sasahara, K., Moriya, T., Akiyama, M., Hamada, T., Shibata, S.: "Constant light housing attenuates circadian rhythms of mPer2 mRNA AND mPER2 protein expression in the suprachiasmatic nucleus of mice"Neuroscience. 121. 493-499 (2003)
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[Publications] Moriya, T., Ikeda, M., Teshima, K., Hara, R., Kuriyama, K., Yoshioka, T., Allen, C.N., Shibata, S.: "Facilitation of alpha-amino-3-hydroxy-5-methylisoxazole-4-propionate receptor transmission in the suprachiasmatic nucleus by aniracetam enhances photic responses of the biological clock in rodents"J Neurochem. 85. 978-987 (2003)