2003 Fiscal Year Annual Research Report
PSD95とNMDA受容体のシナプスクラスタリングへの癌抑制遺伝子APCの関与
Project/Area Number |
15700279
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
下村 敦司 藤田保健衛生大学, 医学部, 助手 (50340237)
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Keywords | APC / シナプス / PSD-95 / AMPA受容体 / トランスポート / クラスタリング / 中枢神経 |
Research Abstract |
中枢神経系における神経回路網は、神経細胞どうしのネットワークによって形成されており、その接合部位はシナプスと呼ばれる。記憶や学習といった脳高次機能の発現のためには、シナプスにおける情報伝達が正しく行われることが重要である。本研究では、癌抑制遺伝子APC(adenomatous polyposis coli)が、シナプス形成因子PSD-95との相互作用を介して、情報受容を担う因子であるNMDA型受容体のシナプスへの輸送(トランスポート)と集積(クラスタリング)を制御することを、分子生物学的及び免疫細胞化学的手法によって明らかにすることを目的とした。平成15年度は以下のことを明らかにした。 1.ラット海馬由来神経細胞において、APCとPSD-95は相互作用していることを、分子生物学的及び免疫細胞化学的解析によって明らかにした。 2.APCとPSD-95の相互作用のシナプス形成に対する意義を調べるために、APCとPSD-95の相互作用を阻害する分子GFP-APC C72を構築、神経細胞内に導入し、シナプス形成に対する影響を免疫細胞化学的解析により行った。 (1)GFP-APC C72を導入した神経細胞では、GFPのみを導入したものと比較してPSD-95のシナプスへの集積が抑制されていた。 (2)GFP-APC C72を導入した神経細胞では、GFPのみを導入したものと比較してNMDA型受容体のシナプスへの集積は変化なかった。しかし、NMDA受容体以外の情報受容を担う受容体因子、AMPA型受容体のシナプスへの集積が抑制されていた。 3.さらに、AMPA受容機構がGFP-APC C72分子によって抑制を受けることを生理学的解析によって調べた。結果、GFP-APC C72を導入した神経細胞では、GFPのみを導入したものと比較して情報伝達物質AMPAに対する反応性が有意に抑制を受けた。
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