2004 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア局在型セリンプロテアーゼ、Omi/HtrA2の生理的機能の解明
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15700298
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
鈴木 泰行 独立行政法人理化学研究所, 運動系神経変性研究チーム, 研究員 (40321773)
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Keywords | アポトーシス / 細胞死 / 神絳変性疾患 / IAP / caspase / ミトコンドリア / Omi / HtrA2 / セリンプロテアーゼ |
Research Abstract |
アポトーシス阻害タンパク(Inhibitor of Apoptosis Protein : IAP)は種を越えて構造と機能がよく保存されているアポトーシス抑制因子である。ヒトIAPの一種であるXIAP, c-IAP1, c-IAP2はアポトーシスの実行に中心的な役割を担うCaspase-3, -7, -9を阻害し、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経変性疾患モデルマウスで観察される神経細胞死を含めた様々な細胞死を抑制する。我々は、XIAP結合タンパク質としてHtrA2/Omiを同定した。HtrA2はミトコンドリア膜間腔に局在するセリンプロテアーゼで、細胞死誘導刺激により細胞質に放出され、XIAPを含むIAPに直接結合することにより、IAPの抗Caspase活性を阻害する。また、HtrA2はセリンプロテアーゼ活性依存的な細胞死誘導能を有しており、Caspase非依存的細胞死への関与が示唆されている。 我々は、HtrA2の生理機能を解明するために、HtrA2の基質タンパク質のスクリーニングを行い、IAP自体がHtrA2基質タンパク質であることを明らかにした。引き続きスクリーニングを行い、数種類のHtrA2基質タンパク質の細胞死に対する影響を調べた結果、顕著な細胞死抑制能をもつ新規タンパク質AMORを同定した。AMOR mRNAおよびタンパク質はヒトおよびマウスのほぼ全組織に発現しており、細胞内では主に細胞核と、膜画分に局在していた。siRNAを用いて内在性AMORタンパク質の発現を抑制すると、ある種のストレスに対して細胞死感受性が増すことから、AMORは細胞死抑制遺伝子であると考えられる。これらの結果から、HtrA2がいくつかの細胞死抑制因子を分解し、不活性化することにより細胞死を誘導する可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)