2003 Fiscal Year Annual Research Report
神経系特異的AP-3B複合体・μ3Bサブユニットによる細胞内輸送機構の解析
Project/Area Number |
15700299
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中津 史 独立行政法人理化学研究所, 粘膜免疫系再構築研究チーム, 研究員 (50360607)
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Keywords | アダプター(AP)複合体 / シナプス小胞 / 神経伝達物質遊離 / LTP / temporoamonic経路 / VGAT |
Research Abstract |
μ3B遺伝子欠損(KO)マウスでは、HPLCを用いた遊離アミノ酸の解析からKCl刺激による海馬からのGABAの遊離が低下していること、これに伴いCA1領域でのLTP誘導の閾値が低下していること、さらに、野生型マウスではGABA作動性の抑制性神経細胞により抑制されている大脳皮質嗅内野からCA1領域へのtemporoammonic経路が、μ3BKOマウスでは抑制されずに興奮性の伝搬が見られること等の現象から、μ3BはGABAの遊離に関与する可能生が示唆された。そこで、近年同定された小胞型GABA輸送体(VGAT)に着目し、野生型及びμ3BKOマウスの海馬におけるVGAT蛋白質レベルを生化学的手法により比較したところ、μ3BKOマウスでは全海馬分画、及び海馬シナプトソーム分画いずれにおいても野生型に比して有意に低下していた。このことから、μ3BはVGATをcargoとしてシナプス小胞への輸送に関与する可能性が示唆された。この可能性をさらに検討するために、μ3Bにより制御を受ける可能性のあるVGATアミノ酸配列を検索しところ、C末端側の細胞質領域にLIというジ・ロイシン様シグナルを見いだした。そこで、このジ・ロイシン様シグナルをTac(IL-2受容体α鎖)の細胞質領域に連結したキメラ分子を作製し、FACS解析によりジ・ロイシン・シグナルとしての活性があるかを検討したところ、LI配列の4残基上流のSをDに置換した変異体において、非常に強いジ・ロイシン・シグナル活性を認めた。現在、脳ライゼートを用いたpull-down解析、酵母2-hybrid解析などにより、μ3BとVGATの相互作用を検討中である。また、初代海馬神経細胞培養系を用いて、VGATがVAMP2と共局在することが確認されたため、現在、μ3BKOマウス由来の初代海馬神経細胞培養系におけるVGATの局在を解析中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] F.Nakatsu, H.Ohno: "Adaptor protein complexes as the key regulators of protein sorting in the post-Golgi network."Cell Structure and Function. 28・5. 419-429 (2003)
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[Publications] 中津 史, 高津宏之, 大野博司: "ポストゴルジ・ネットワークにおける小胞輸送"実験医学(増刊). 21・14. 114-121 (2003)