2003 Fiscal Year Annual Research Report
3次元形状視知覚に関わる分散協調型神経メカニズムの解明
Project/Area Number |
15700304
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
花沢 明俊 九州工業大学, 大学院・生命体工学研究科, 助教授 (10280588)
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Keywords | 神経生理学 / 大脳皮質 / 視覚 |
Research Abstract |
視覚神経系が物体認識などに関して高い能力を示すのには、情報処理の分散性が本質的な役割を果たしている。本研究は視覚神経系を分散協調型情報処理システムとして捉え、単に視覚情報をどのようなアルゴリズムで処理しているかといった問題だけでなく、分散システムとしてどのようにデザインされているかを明らかにする目的で、3次元形状視知覚に関わる大脳皮質視覚関連領野における分散協調型の情報処理に注目し、研究を行った。物体の3次元形状の知覚はその手がかりとなる陰影や両眼視差、運動視差、パースペクティブなどさまざまな視覚属性が分散、独立して処理され、協調的に統合されるよって実現されると考えられているが、その神経メカニズムの詳細は明らかになっていない。我々は現在までに、マカクザルV4野に陰影からの3次元形状知覚に関連する神経細胞が存在することを明らかにしている。また、V4野の神経細胞が両眼視差の違いに応答することも知られている。陰影、両眼視差、テクスチャー勾配などの異なる3次元形状の手がかりが、V4野でどのように処理されているのかを調べるため、マカクザルV4野から陰影、テクスチャー勾配および両眼視差に対する神経細胞の応答を記録し、1つの神経細胞がそれぞれ異なった手がかりに対してどのような応答を示すかを調べた。その結果、1種類の手がかりのみに応答する細胞と、複数の手がかりに応答する細胞が存在することが明らかとなった。この結果は、各々の手がかりを独立に処理するプロセスと、それを統合し、表現するプロセスがV4野内に存在することを示唆している。本研究は、まだ十分な量のデータが得られていないため、現在も進行中である。
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