2004 Fiscal Year Annual Research Report
3次元形状視知覚に関わる分散協調型神経メカニズムの解明
Project/Area Number |
15700304
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
花沢 明俊 九州工業大学, 大学院・生命体工学研究科, 助教授 (10280588)
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Keywords | 神経生理 / 大脳皮質 / 視覚 |
Research Abstract |
3次元形状視知覚に関わる大脳皮質視覚関連領野における分散協調型の情報処理に注目し、研究を行った。物体の3次元形状の知覚はその手がかりとなる陰影や両眼視差、運動視差、パースペクティブなどさまざまな視覚属性が分散、独立して処理され、協調的に統合されるよって実現されると考えられているが、その神経メカニズムの詳細は明らかになっていない。我々は現在までに、マカクザルV4野に陰影からの3次元形状知覚に関連する神経細胞が存在することを明らかにしている。また、V4野の神経細胞が両眼視差の違いに応答することも知られている。陰影、両眼視差、テクスチャー勾配などの異なる3次元形状の手がかりが、V4野でどのように処理されているのかを調べるため、マカクザルV4野から陰影、テクスチャー勾配および両眼視差に対する神経細胞の応答を記録し、1つの神経細胞がそれぞれ異なった手がかりに対してどのような応答を示すかを調べた。その結果、1種類の手がかりのみに応答する細胞と、複数の手がかりに応答する細胞が存在することが明らかとなった。この結果は、各々の手がかりを独立に処理するプロセスと、それを統合し、表現するプロセスがV4野内に存在することを示唆している。さらに、複数の3次元形状の手がかりの間で、矛盾を生じるような視覚刺激を作製し、3次元形状知覚と神経細胞応答との関係を調べた。その結果、知覚に影響を与えるような手がかり間の矛盾も、V4野の神経細胞応答にはほとんど影響しないことがわかった。これは、3次元形状の最終的な解釈がより上位の領野で行われており、V4野はそれに必要な要素情報を検出し、上位の階層へ提供していることを示唆している。
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