2004 Fiscal Year Annual Research Report
上丘の抑制性介在ニューロン樹状突起での信号伝播と樹状突起間シナプス伝達の特性
Project/Area Number |
15700310
|
Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
遠藤 利朗 生理学研究所, 発達生理学研究系, 助手 (30353436)
|
Keywords | 上丘 / GABA作動性介在ニューロン / ニコチン型アセチルコリン受容体 / 樹状突起 / HCN channel / Wide field vertical cell |
Research Abstract |
平成16年度の実績は以下のとおり。 1.上丘浅層ニューロンに発現するニコチン型アセチルコリン受容体(nAChR)のサブタイプと、その機能的役割を解析した。昨年度の研究のから、GABA作動性介在ニューロンはα7型と、α3β2型を発現すること、さらにこれらの活性化により投射ニューロンへのGABA_A受容体を介した抑制がシナプス前性に促進されることを示唆する結果を得ていた。本年度には新たな電気生理学的、薬理学的実験データを追加し、以前の結果をさらに補強する結果を得た。上丘に軸索-軸索間シナプスが存在するという報告は無く、またコリン作動性の軸索終末が樹状突起に終止するという電顕所見があることから、上丘浅層におけるアセチルコリン系にはdendro-dendriticシナプス伝達を修飾する機能があると考えられる。 2.Wide field vertical(WFV)cellと呼ばれる投射ニューロンの特性を調べた。前年度までの研究で、このニューロンがhyperpolarization-activated cation nonselective(HCN)current(I_h)を顕著に示すこと、WFV cellはHCN channelのうち主にHCN1を樹状突起に発現していること、WFV cellではシナプス入力に応答して、まず樹状突起において活動電位が開始されることを示唆する結果を得ていた。本年度は、樹状突起へのグルタミン酸とテトロドトキシンの局所投与実験の結果から、樹状突起において活動電位が生じることの直接的証拠が得られ、また活動電位はナトリウムチャネルの活性化によるものであることを示した。I_hを抑制するとシナプス入力に対して発火に至る確率が減少し、発火までの潜時が延長されることからWFV cellにおいてHCN1は、樹状突起における活動電位の生成と伝播を調節することが示唆された。
|
Research Products
(3 results)