2003 Fiscal Year Annual Research Report
肝臓の再生医学研究のためのモデル動物の開発とES細胞を用いた肝細胞の再生
Project/Area Number |
15700314
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
田川 陽一 信州大学, ヒト環境科学研究支援センター, 助教授 (70262079)
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Keywords | 胚性幹細胞 / 肝細胞 / 再生医学 / 分化誘導 / Con A誘導肝炎 / カテキン / 肝 / ビスマルトレート |
Research Abstract |
胚性幹細胞を用いた肝のin vitro組織形成システムを確立し、ES細胞の再生医学的応用を目指している。個体発生における器官形成の微小環境に近い分化誘導システムの構築を踏まえて、肝臓の発生には心臓からのシグナルが必要不可欠であることに着目した。そこで、本年度は、ES細胞由来の胚様体中に心筋細胞を出現させた後、その周囲に現れた肝細胞の局在ならびに血管内皮前駆細胞との相互作用を中心に検討した。また、このES細胞由来肝細胞を長期培養できるように、肝細胞培養システムの開発の研究も行った。 ES細胞から肝細胞:マウスES細胞から胚様体を作製し、ディッシュ上に接着させ培養を継続した。肝細胞への分化及び機能をRT-PCRによる肝特異的遺伝子発現と肝特異的タンパク質の産生や活性を検討した。また、アルブミン陽性細胞や血管内皮前駆細胞の局在を蛍光免疫染色により検討した。胚様体接着後のRT-PCRの解析では、アルブミンの発現の経時的な増加が確認され、様々な成熟肝細胞特異的遺伝子の発現も認められた。また、免疫染色では、拍動する心筋細胞周囲にアルブミン陽性細胞が島状に散在し、それらの中には肝細胞特有の2核を持つ細胞が多く認められた。PECAM-1/CD31とアルブミンとの蛍光2重染色により、胚様体内に網状に広がるCD31陽性細胞に近接してアルブミン陽性細胞が存在していた。以上より、ES細胞のみで作製された胚様体の一部が心筋細胞や血管内皮前駆細胞へ分化し、それらの細胞と相互作用しながらES細胞から肝細胞が出現して肝様組織がin vitroで構築できるようになった。 肝細胞培養システム:ラット初代肝細胞の培養を試みると通常時間経過に伴って細胞死が起きるが、エピガロカテキンやビスマルトレート亜鉛錯体を培養メディウムに添加すると、アポトーシスを抑制すること発見した。また、ビスマルトレート亜鉛錯体は、Con A誘導肝炎の発症も抑制できることがわかった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kagaya, N., et al.: "Novel function of rare catechin, epigallocatechin-3-(3''-O-methyl) gallate, against cold injury in primary rat hepatocytes."J.Biosci.Bioeng.. 96. 559-563 (2003)
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[Publications] Sehra, S., et al.: "Airway IgG counteracts specific and bystander allergen-triggered pulmonary inflammation by a mechanism dependent on FcγR and IFN-γ."J.Immunol.. 171. 2080-2089 (2003)
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[Publications] Kawase, M., et al.: "Liver protection by bis(maltolato)zinc(II) complex."Exp.Anim.. 53. 1-9 (2004)
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[Publications] Kyuwa, S., et al.: "Differences between BALB/c and C57BL/6 in mouse hepatitis virus replication in primary hepatocyte culture."Exp.Anim.. 52. 81-84 (2003)
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[Publications] 田川陽一: "特集「発生工学」"生物工学会誌. 81. 343-360 (2003)
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[Publications] 田川陽一: "再生医療の展望:再生医学と胚性幹細胞"信州医学雑誌. 51. 361-362 (2003)