2003 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア病態モデルマウスを利用した核移植による発生工学的治療の開発
Project/Area Number |
15700317
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
井上 貴美子 独立行政法人理化学研究所, 遺伝工学基盤技術室, 研究員 (70360500)
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Keywords | ミトコンドリアDNA / ミトコンドリア病 / 電気融合法 / 注入法 / 核移植 |
Research Abstract |
本年度は、体細胞核移植技術により、ミトコンドリア病の治療モデルを確立する事を試みた。 具体的には、異なるミトコンドリアDNA(mtDNA)配列を持つ2種類の交雑系マウス、(B6xDBA/2)F1の卵子と、(JF1x129/Sv-ter)F1の体細胞を用いて核移植操作を行い、得られた体細胞核移植クローン個体内にドナー細胞のmtDNAが残存するかどうかを検討した。 ドナー細胞として使用した細胞種は卵丘細胞、セルトリ細胞、線維芽細胞の3種類であり、核ドナーの卵子への導入方法は注入法(卵丘細胞、セルトリ細胞)、電気融合法(線維芽細胞)のいずれかを用いた。生まれたクローン産仔29個体中25個体が成体へ成長したことを確認した後、各個体から脳、肝臓、腎臓、尾の4種類の組織を採取し、それぞれの組織においてドナー細胞由来のmtDNAが存在しているかどうかをPCR法によって確認したところ、内24個体とほとんどの個体においてドナー細胞由来mtDNAの存在が確認された。さらに、各組織におけるドナー細胞由来mtDNAの比率を同定するために、リアルタイム定量PCR装置を用いて解析を行ったところ、最も比率が高いクローン個体では13.1%のドナー細胞由来mtDNAが存在していることが確認された。 また、細胞種間では線維芽細胞クローン個体が、組織間では肝臓がドナー細胞由来のmtDNAを有意に高い比率で有していることが明らかとなった。この原因については不明だが、細胞種間差については、ドナー細胞の導入方法が最も大きく影響していると推測される。従って、発生工学的技術を用いたミトコンドリア病治療の際には、電気融合法より注入法の方がより適当な方法であることが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Inoue, K., Ogonuki, N., Mochida, K., Yamamoto, Y., Takano, K., Kohda, T., Ishino.F., Ogura, A.: "Effects of Donor Cell Type and Genotype on the Efficiency of Mouse Somatic Cell Cloning."Biology of Reproduction. 69. 1394-1400 (2003)
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[Publications] Inoue, K., Ogonuki, N., Yamamoto, Y., Takano, K., Miki, H., Mochida, K., Ogura, A.: "Tissue-specific distribution of donor mitochondrial DNA in cloned mice produced by somatic cell nuclear transfer."Genesis. (in press). (2004)
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[Publications] Kanatsu-Shinohara, M., Ogonuki, N., Inoue, K., Miki, H., Ogura, A., Toyokuni, S., Shinohara, T.: "Long-Term Proliferation in Culture and Germline Transmission of Mouse Male Germline Stem Cells."Biology of Reproduction. 69. 612-616 (2003)
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[Publications] Kanatsu-Shinohara, M., Ogonuki, N., Inoue, K., Ogura, A., Toyokuni, S., Shinohara.T.: "Restoration of fertility in infertile mice by transplantation of cryopreserved male germline stem cells."Human Reproduction. 18. 2660-2667 (2003)
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[Publications] Miki, H., et al.: "Microinsemination with first-wave round spermatids from immature male mice."Journal of Reproduction and Development. 50. 131-137 (2004)