2004 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア病態モデルマウスを利用した核移植による発生工学的治療法の開発
Project/Area Number |
15700317
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
井上 貴美子 独立行政法人理化学研究所, 遺伝工学基盤技術室, 研究員 (70360500)
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Keywords | ミトコンドリアDNA / ミトコンドリア病 / 核移植 / マウス / 第1極体 |
Research Abstract |
本年度は、ミトコンドリアDNA (mtDNA)の含有量が少ないと推測される第1極体の核移植を行い、産仔を得ることに成功した。第1極体は第一減数分裂時に放出される構造物であり、その細胞質内には雌の染色体が含まれており、遺伝情報としては卵子と等価である。また、放出後には退行する運命にあるため、その細胞質成分は貧しく、ミトコンドリアの含有量も少ないことが期待される。一方で、その退行していくという性質から、非常に細胞膜が壊れやすく、核移植のドナーとしては利用が困難である。そこで、第1極体を効率的な核ドナーとして使用すべく、様々な培養条件下で移植方法を探索した。 ここまでのところ、以下の条件が最も適していることが分かっている。 1.採卵方法採卵はGV卵期に行い、試験管内成熟(IVM)を行う。採卵とIVMを行う培地は浸透圧の高いTYH培地を使用し、卵丘細胞をはずした裸化卵子として培養を行うと、第1極体が退行しにくいことが明らかとなった。 2.融合方法採卵12時間後、第1極体の移植を行う。核移植法は第2減数分裂期卵子をサイトカラシン存在下で除核した後、センダイウイルスによって行う。電気パルスによる融合は極体へのダメージが大きく、退行が早まってしまうため第1極体の移植方法としては適していない。 3.受精方法体外受精(IVF)は卵丘細胞裸化卵子を用いた受精率が低いこと、除核や融合による膜へのダメージが受精率に影響を与えることから、この方法には適していないことが明らかとなった。一方顕微授精(ICSI)による方法は翌日の分割率が高く、確実な受精が行える。 以上の方法を採用して、これまでに第1極体を核ドナーとした産仔が7.4%の割合で得られた(2/27:産仔数/移植胚数)。現在、これらのマウスを用いて、未受精卵子の核移植により得られたマウスと核移植由来mtDNAの含有量を比較している。
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Research Products
(8 results)