2003 Fiscal Year Annual Research Report
視覚障害者の音環境把握に基づいた音環境デザインの方法論についての検討
Project/Area Number |
15700362
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
永幡 幸司 福島大学, 行政社会学部, 助教授 (50312765)
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Keywords | 視覚障害者 / 音環境 / バリアフリーデザイン / 歩行 / 使えないデザイン / 聞き取り調査 / 都市 / 歩行訓練 |
Research Abstract |
本研究では、視覚障害者に対する聞き取り調査により、彼らが都市内を移動する際に、どのような音を、どのような場面で、どのように手がかりとして使っているのかについて明らかにし、さらにそれらを聞き取りづらくしている要因について明らかにすることを目的とする。 本年度は、函館、福島、東京、福岡在住の視覚障害者を対象に、彼らの日常的体験を具体例として、彼らが日常的にどのような場面でどのような音をどのように利用しているのか、及び、どのような場面では音が利用できないのかを中心に、彼らが都市内を移動する際の音の利用の情況について、聞き取り調査を行なった。その際、多くの調査対象者には、実際に現地に同行していただき、現場で詳細な話を伺っている。また、彼らにとって、歩きやすい音環境の地点、歩きにくい音環境の地点の具体例を挙げてもらった。 聞き取り調査の結果より、現在用いられている、視覚障害者のためのバリアフリーを名目として設置された音の中には、実際には視覚障害者には使えない/使いにくいものが少なからずあり、それらは少なくとも、次の5種類に類型化できることが明らかとなった。(1)音が小さすぎる。(2)似たような音が近所に設置されていて、それぞれを区別できない。(3)音が響きすぎて定位できない。(4)案内音声の内容が不適切である。(5)音を出すタイミングや場所の設定が不適切である。 また、調査対象者が挙げた、歩きやすい音環境の地点、歩きにくい音環境の地点の中から、典型的な地点について、録音、及び,騒音レベル等の測定を進めている。 さらに、今回の聞き取り調査の対象者の中には、現在、歩行訓練を受けている最中の方々もおり、彼らについては訓練の進行状況に合わせて調査を行なった。今後、歩行訓練の過程でどのように音の利用の仕方を身につけていくのかについての検討が可能になると考えている。
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Research Products
(1 results)