2004 Fiscal Year Annual Research Report
精神生理学的指標を用いた発達障害児の感覚情報処理機能障害評価の開発
Project/Area Number |
15700369
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
太田 篤志 広島大学, 大学院・保健学研究科, 助手 (40274063)
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Keywords | 発達障害 / 精神生理学的評価 / 感覚情報処理 |
Research Abstract |
感覚刺激に対する特異的な反応(感覚調整障害)を示す発達障害児の評価方法について、精神生理学的指標による検査を開発することが本研究の目的である。今年度は、昨年度確立した精神性発汗測定手順にて、健常成人・児童及び発達障害児の測定データを収集、さらに健常成人・児童のデータ分析を実施した。測定方法は、デジタル発汗計を対象者の拇指球付近に装着し、(1)ナイロンフィラメントによる皮膚刺激、(2)フラッシュライトによる視覚刺激、(3)ベルによる聴覚刺激等を提示し、これらの感覚刺激入力に対する精神性発汗量をmg単位で測定した。 発達障害児に対するデータ収集では、一部の対象児が落ち着いて測定できないなどの問題が生じたため、検査協力がより得られやすいよう検査中に無意味刺激として提示する視覚刺激を発達障害児が好む画像に変更し、さらに発汗測定部位である上肢を動かすことがないように対象児に分かり易い指示にて提示するなど測定手順の一部を修正し、約30名の測定を実施した。 データ分析は、感覚情報処理関連の行動指標として現在利用されている行動質問紙(Sensory Profile for Adolescent/Adult及び日本版感覚インベントリー:JSI-R)と精神性発汗パターンとの関連性について検討した。健常成人41名を対象とした研究では、行動質問紙で示された行動特性と発汗パターンとの間に一定の関連性が示唆され、また感覚過敏の行動特性を示す群では触刺激に対する発汗量変化にて統計学的有意差が示された。健常児24名を対象とした研究では、感覚刺激に対して特異的な行動特性を示す群に高い発汗量変化の傾向が示唆され、とくに固有受容覚刺激に対する発汗量変化において有意差が認められた。しかしながら健常成人・児童ともに、発達障害児に認められるような著明な感覚調整障害はなく、精神性発汗においても明確な特性の違いは認められなかった。
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Research Products
(1 results)