Research Abstract |
脳卒中片麻痺患者が,終日装着使用することが可能なパワーアシスト(筋電制御)型電気刺激装置を作製した.本装置のサイズは,昨年(W50xH20xD60)の試作機から更に小型化され,電池部を除いて,W30xH15xD50,(mm)である.さらに,1800mAh,5V出力のリチウムイオン電池により,24時間以上(約100時間)の連続駆動が可能である.従来の装置では,装置使用する際に,毎回,筋電アンプの増幅率や刺激強度などを調整する必要があり,脳卒中片麻痺患者自らが使用することが困難であった.今回作製した装置では,医療スタッフなどが,刺激の強度,および筋電増幅率などをUSB経由でPCにより設定すると,その設定値をEEPROMに記憶できるように改良した.したがって,患者が使用する際には,スイッチを入れるだけで,予め設定された設置値で動作する.PC経由で,設定する形式を採用したことで,従来機では,装置本体に配置されていた設定する際に必要となる可変抵抗やスイッチ類を排除することができ,装置の小型化にもつながった.また,従来+-の両電源(2個以上の電池)が必要であったが,5Vの片電源から分圧された2.5Vを,バッファアンプを通して基準電圧にすることにより,片電源のみで動作することが可能となり,エネルギー効率がよく,継ぎ足し充電が可能な,使い勝手の良いリチウムイオン電池を電源として採用することが可能となった.本装置を健常者が終日使用し,皮膚や筋肉に炎症が起きないことを確認した. 脳卒中片麻痺患者4名に対し,筋電制御型電気刺激装置を前頸骨筋に適用し,麻痺側足関節の背屈の改善が得られるか,トレッドミル歩行解析装置を用いて歩容を計測し,検討を行った.その結果3名において,遊脚期に麻痺側足関節の背屈が有意に増大し,歩行の改善が確認された.
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