2003 Fiscal Year Annual Research Report
協働筋の活動交替の発現機序をIa群求心性神経活動から解明する
Project/Area Number |
15700396
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
神崎 素樹 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (30313167)
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Keywords | 活動交替 / 協働筋 / Ia群線維活動 / 生理学的振戦 / 筋音図 / 機械的振動刺激法 / 変動係数 / 表面筋電図 |
Research Abstract |
研究実績は以下のとおり. 低強度・長時間の静的筋活動中に観察される"協働筋の活動交替"の発現機序を明らかにするために,Ia群線維活動に着目した. 活動交替中にIa群線維が貢献(活動)しているか否か,さらに,これはいずれの筋に由来するかを明らかにするだめに,活動交替中に観察される発揮張力の変動を検討した(実験1).一般に,発揮張力の変動の大きさ(ここでは変動係数)は,運動時間の経過とともに指数関数的に増加し続ける.しかし,活動交替の発現する条件下では,発揮張力の変動係数は増加と減少を繰り返し,さらに活動交替と同期していた.本実験で観察された発揮張力の変動の周波数特性を検討したところ,8-12Hzの高周波成分が活動交替と密接に関連していることが解った.8-12Hzの張力の変動はIa群線維由来の生理学的振戦(Freund, Physiol Rev 1983)であることから,Ia群線維活動が活動交替の発現に関与している可能性が示唆された.本実験では,大腿四頭筋を対象としているが,外側広筋および内側広筋よりも大腿直筋の活動度と発揮張力の変動係数との時間的関連性があることから,活動交替発現に関連するIa群線維活動は,大腿直筋に由来することが示唆された(現在,国際誌に投稿中).さらに,これらの筋の機械的活動を筋音図法により取得し,協働筋の機械的活動(筋の振動)と活動交替との関連を深く検討している(現在,解析中). 実験2では,あらかじめ大腿直筋あるいは外側広筋あるいは大腿四頭筋のIa群線維活動を減退させたときの活動交替の様相を検討した.あらかじめIa群線維活動を低下させるために機械的振動刺激法を用いた(Kouzaki et al. J Appl Physiol 2000).その結果,大腿直筋および大腿四頭筋に振動刺激を与えた条件の活動交替の頻度は,外側広筋に振動刺激を与えた条件および振動刺激を与えない条件よりも有意に高く,また最初の発現時間が有意に短かった.この結果より,大腿直筋のIa群線維の活動が活動交替発現のトリガーになっていることが示唆された(現在,国際誌に投稿準備中).
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