2003 Fiscal Year Annual Research Report
経口的グルタミン摂取が運動時のレドックス調節,および免疫機能に及ぼす影響
Project/Area Number |
15700411
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
小山 勝弘 山梨大学, 教育人間科学部, 助教授 (30313779)
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Keywords | 運動 / グルタミン / 酸化ストレス / グルタチオン / 細胞性免疫機能 / リンパ球幼弱化反応 / ラット |
Research Abstract |
急性運動負荷による生体抗酸化機能の変化に対して,事前のグルタミン経口摂取が及ぼす影響について検討した. 被験動物として7週齢のWistar系雄ラット(n=28)を用い,12h L-Dサイクルによって2週間にわたる予備飼育を行った.予備飼育の間,1日あたり10分間のトレッドミルランニング運動(10m/min)を週3回の頻度で行い,トレッドミル上での走行に慣れさせた.運動実験の1週間前に,ラットを5%相当(重量)のL-glutamineを添加した飼料を摂取するグルタミン投与群(n=14)と,窒素量をカゼインで調整したコントロール群(n=14)の2群に分類した.毎日飼料を回収して秤量し,日々の摂餌量を観察して運動実験に備えた.2週間の予備飼育終了後,各群の半分のラット(n=7)に,トレッドミルを用いた単回の疲労困憊運動(負荷漸増法)を負荷した.安静時,および運動直後に麻酔下に腹腔動脈から採血して失血死させ,下肢骨格筋(ヒラメ筋),および肝臓を速やかに採取した.血液サンプルは,アミノ酸分析のためにヘパリン処理をして血漿を分離し,残りからは血清を得てそれぞれ測定に充てた. グルタミン投与は骨格筋グルタミンレベルの有意な増加をもたらした.運動負荷により,両群共に血清CKやLDHレベルは増加し,コントロール群では血清過酸化脂質濃度の安静値からの有意な上昇が確認された.しかしグルタミン投与群では,血清過酸化脂質濃度はむしろ低下した.骨格筋中のグルタチオン濃度はコントロール群で運動により安静値に比し有意に低下したが,グルタミン投与群ではグルタチオン量の低下が抑制され,維持された. これらの結果から運動誘発性の生体レドックスバランスは,グルタミンの経口摂取によって影響され,事前のグルタミン経口摂取により運動後の酸化ストレスレベルを抑制できる可能性が示唆された.
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