2005 Fiscal Year Annual Research Report
スラップスケート滑走動作の力学的合理性と筋機能に関するバイオメカニクス的研究
Project/Area Number |
15700412
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
結城 匡啓 信州大学, 教育学部, 助教授 (90302398)
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Keywords | バイオメカニクス / スラップスケート / 力学的要因 / 解剖学要因 / 筋電図 / 3次元動作解析 |
Research Abstract |
1.研究の目的と本年度の課題 本研究では,既に開発したスケートブレードに作用する3分力が計測できるセンサー内蔵スラップを一流選手に履かせて滑走させ,筋電図計測と3次元動作解析を併用することにより,スラップスピードスケートの力学的合理性と解剖学的観点からみた筋機能との関係についてバイオメカニクス的に明らかにすることを目的とした. これまでにスラップを開発したオランダの研究グループは,スラップの利点は従来のスケートで抑制されていた足底屈動作が可能になり足関節の発揮パワーが約15%増加することと推論した.我々は,従来のスケート滑走では氷の表面に残る傷が大きいことに着目し,スラップではブレードが離氷時の氷の破壊エネルギーが小さいという力学的な合理性を提唱している(2002).しかし,これを証明するためには滑走ストロークにおいて破壊される氷の体積を定量化し,スケートブレードが離氷時に氷を削る破壊エネルギーを推定する必要がある.そこで,本年度は,これらの方法を完成させ,3次元キネティクス動作解析を併用してスケーターの力学的エネルギーの損失と氷破壊へのエネルギー損失を比較する実験を行い,これらの仮説の検証を完結させようとした. 2.実験の進捗状況 既に開発したセンサー内蔵スラップスケート(前々回科学研究補助費奨励(A))を選手に履かせて滑走させ,センサーからの信号を小型専用アンプを介して小型データロガに取り込みスラップ滑走中の静止座標系におけるブレード反力を計測するとともに,スケートブレードが離氷時に氷を削る破壊エネルギーを定量化する方法が開発できた.これらは氷の温度や気温の影響で誤差が大きかったが,石膏の凝固点硬化温度を下げる工夫で氷が融解しなくなり,削れ痕のレプリカ採取にかなり精度が向上し,氷の削れ体積を定量化するには十分に至った. 3.今後の課題 滑走中のスケーターのブレードが氷を削る破壊エネルギーの定量化を確立することができた.しかし,この体積から破壊エネルギーを推定する時点で,氷に対する破壊の方法,すなわち,ブレードの先端で縦方向に破壊するか斜め方向に破壊するかによってその必要なエネルギーが異なってくるという新たな問題に直面した.この問題が解決できれば,当初の目的であるところのスラップの力学的合理性と解剖学的要因との関係を明らかにできるところまできた.新たな研究が必要となったがもうあと一歩である.
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