2003 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋の収縮様式の違いが筋タンパク合成に及ぼす分子機構の解明
Project/Area Number |
15700415
|
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
村上 太郎 名古屋工業大学, 工学研究科, 助教授 (10252305)
|
Keywords | 筋肥大 / 伸張刺激 / C2Cl2細胞 / タンパクの翻訳 / Akt / p70^<S6kinase> / eIF4結合タンパク-1 |
Research Abstract |
近年,ラットの代償性筋肥大のモデルを用いた実験により,骨格筋肥大を誘導する細胞内シグナル伝達経路として,PI3 Kinaseの活性化-Aktの活性化mTORの活性化p70^<S6kinase>の活性化/eIF4の活性化-タンパクの翻訳段階での合成増大,の経路が極めて重要であることが明らかになった。現段階で筋収縮の負荷重量や様式の違いを感受するセンサー分子を同定することは困難であるが,この伝達経路の活性化を筋肥大誘導の指標として捉えることは有用であると思われる。本研究では,マウス骨格筋細胞であるC2Cl2細胞を周期的に伸張し、1)筋管が肥大するか否か、2)PI3 Kinase-Akt mTOR p70^<S6kinase>/eIF4の経路が活性化するか否かについて検討した。 C2Cl2細胞をシリコン膜状で筋管に分化させた後、独自に開発した細胞伸張装置を用いて、筋管を1Hzの頻度で1日6時間、4日間にわたって周期的に伸長した。その結果、伸長した筋管は伸長しなかった筋管に比べて肥大する傾向を示した。このときに、PI3 Kinase-Akt mTOR p70^<S6kinase>/eIF4の経路が活性化しているか否かについて、p70^<S6kinase>とeIF4結合タンパク-1のリン酸化を指標にして検討した。その結果、両タンパクは伸張する/しないにかかわらず常にリン酸化されており、伸張刺激によってその程度がさらに増大することはなかった。また、AktのSer437とThr308残基も筋管の伸張にかかわらず、常にリン酸化されていた。これらの結果から、C2Cl2筋管が伸張刺激によって肥大する機構には、Bodineらが提唱したPI3 Kinase-Akt mTOR p70^<S6kinase>/eIF4経路以外の情報伝達経路が関与している可能性が示唆された。
|