2004 Fiscal Year Annual Research Report
骨格筋の収縮様式の違いが筋タンパク合成に及ぼす分子機構の解明
Project/Area Number |
15700415
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
村上 太郎 名古屋工業大学, 工学研究科, 助教授 (10252305)
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Keywords | 骨格筋 / C_2C_<12> / 培養系 / 伸長刺激 / 4E-BP1 / p70S6K1 / mTOR / リン酸化 |
Research Abstract |
骨格筋は自らにかかる力を感受しタンパクの合成を増減する機構を有しているが、その分子機構の詳細は明らかにされていない。そこで、骨格筋細胞(C_2C_<12>筋管細胞)を培養系で伸長刺激できるシステムを開発し、伸長刺激がタンパク合成に及ぼす影響をeIF4結合タンパク(4E-BP1)とp70S6K1のリン酸化を指標にして検討した。 C_2C_<12>筋管細胞の4E-BP1は、伸長刺激を与えなくても常にリン酸化しており、伸長刺激を与えてもそれ以上リン酸化が高まらないことが明らかになった。また、4E-BP1のリン酸化はラパマイシンの添加で完全に抑制された。すなわち、C_2C_<12>筋管細胞の4E-BP1は、mTORを介して常にリン酸化されていることが明らかになった。p70S6K1(T389)のリン酸化は、30分間の伸長刺激によって著しく増大した。また、p70S6K1(T421/S424)のリン酸化は、15分間の伸長刺激によって増大し。一方、総p70S6K1の発現は1時間までの伸長刺激によって変動しなかった。これらのリン酸化の増大がmTORを介して起こるのか否かを明らかにするため、ラパマイシン存在下でC_2C_<12>筋管細胞を伸長刺激したところ、ストレッチの有無にかかわらず両りん酸化部位におけるリン酸化は完全に消失した。このことから、mTORは伸長刺激によるp70S6K1のリン酸化に必須の因子であることが明らかになった。細胞外のカルシウムが伸長刺激による骨格筋肥大に及ぼす影響を検討するため、EGTAを用いて培養液中のカルシウムイオンをキレートしてC_2C_<12>筋管細胞を伸長刺激した。その結果、p70S6K1の両リン酸化部位のリン酸化はEGTAの添加によって著しく低下したが、伸長刺激によって著しく増大した。 以上の結果より、伸長刺激によるC_2C_<12>細胞のタンパク合成の増大にp70S6K1のリン酸化が関与していることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)