2003 Fiscal Year Annual Research Report
ラットヒラメ筋筋線維の肥大における求心性神経活動の役割
Project/Area Number |
15700417
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
河野 史倫 大阪大学, 健康体育部, 助手 (90346156)
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Keywords | ラットヒラメ筋 / 代償性肥大 / 求心性神経活動 / プロテオミクス / 単一筋核特性 |
Research Abstract |
骨格筋筋線維の肥大は、発育やトレーニングなどによって引き起こされるが、その詳細なメカニズムは明らかでない。骨格筋や腱のストレッチによって生じる感覚神経(求心性神経)活動は、筋独自の活動パターンをフィードバックさせる手段の1つである。本研究では、骨格筋筋線維肥大における求心性神経活動の役割を検討した。 12週齢のウィスター系雄ラットを正常群、偽手術群、協働筋腱切断(FO)群および除求心性神経+協働筋腱切断(FO+DA)群に分け、FO群は足底筋と内側及び外側腓腹筋の腱を切除し、FO+DA群は更に第4および5腰椎における後根神経を切除した。偽手術群では、腰椎を切開し後根神経を暴露したが、切除は行わなかった。2週間後にヒラメ筋を摘出し、重量測定後ただちに液体窒素中で凍結した。凍結筋の一部を弛緩液中で解凍した後、単一筋線維を取り出し、核または核小体染色を施した。 FO群のヒラメ筋筋線維は正常群に比べ有意に横断面積が増大したが、FO+DA群ではサイズの増大は認められなかった。また、FO+DA群では筋核数の有意な減少も認められた。横断面積および筋核数には、偽手術による顕著な影響は認められなかった。正常および偽手術群における筋核の約90%が1〜2個の核小体を含有していたのに対し、FOおよびFO+DA群ではそれぞれ72、76%であった。FOおよびFO+DA群では3〜5個の核小体を含有する筋核が顕著に増加した。単一筋核あたりの平均核小体数は、正常および偽手術群で1.7個、FOおよびFO+DA群で2.1個であった(p<0.05)。以上の結果から、単一筋核における核小体数の増大が、ヒラメ筋筋線維における代償性肥大の主たる因子の1つであると示唆された。求心性神経活動を抑制した場合、核小体数の増大は引き起こされるものの筋核数が減少したことから、求心性神経活動は筋核数の維持に不可欠であることが示唆された。
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