2003 Fiscal Year Annual Research Report
不活動による筋の萎縮が筋内情報を介した昇圧応答に与える影響
Project/Area Number |
15700418
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
林 直亨 大阪大学, 健康体育部, 助手 (80273720)
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Keywords | 運動昇圧反射 / 廃用性萎縮 / 腎臓交感神経活動 / セントラルコマンド / 不活動 |
Research Abstract |
不活動期間後には,同一運動負荷に対する昇圧応答が減少するが,それを起こすメカニズムは明らかではない.運動時には,運動を開始させる中枢からの情報(セントラルコマンド)と筋からの情報(運動昇圧反射)との2つの神経入力が交感神経活動を介して循環応答を起こす.そこで本研究では,不活動による筋の萎縮によって,活動筋から惹起する運動昇圧反射が減弱し,その結果運動時の昇圧応答が減少する,という仮説を検討する.そのため,本年度は(1)腎臓交感神経活動の記録方法を習得することと,(2)筋の萎縮を起こさせるための手法を習得することを目標とした. ラットの腎臓交感神経活動を記録することが可能になった.中脳歩行誘発野を電気刺激してセントラルコマンドを入力した際,および下腿三頭筋を刺激して運動昇圧反射を入力した際には,血圧および心拍数の増加と同時に腎臓交感神経活動の増加が見られた.また,これは腎血流の減少を伴っていた.現在これらの応答について詳細な解析を進めており,論文執筆を準備している. 本研究では,筋の萎縮を起こさせるための手法,として,アキレス腱の切断を予定していた.ところが,腱あるいは腱の付着部を切断すると,筋が萎縮するだけでなく,周辺組織によって下腿三頭筋が埋没してしまい,実験モデルの作成が困難であることが明らかになった.そこで,ギプス固定によって筋を萎縮させる方法に変更した.片脚のみを1週間ギプス固定すると,固定しなかった脚に比較して下腿三頭筋重量が20%程度少なかった(3例の平均守1.5g vs.1.2g).また,最大発揮筋力は固定した肢の下腿三頭筋で330gF(3例の平均)であり,固定しなかった側(520gF)に比較して少なかった 片脚を1週間ギプス固定した後に運動昇圧反射を入力し,その際の昇圧量を左右の脚で比較する実験を開始するための準備を完了した.
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