2003 Fiscal Year Annual Research Report
高強度な競技パフォーマンスの向上を目的とした新しい低酸素トレーニングの開発
Project/Area Number |
15700433
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Research Institution | National Agency for the Advancement of Sports and Health |
Principal Investigator |
伊藤 穣 独立行政法人日本スポーツ振興センター, 国立スポーツ科学センター・スポーツ科学研究部, 契約研究員 (00360727)
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Keywords | 低酸素トレーニング / 高強度運動 / ペダリングパワー / 筋酸素化レベル / トレーニング効果 |
Research Abstract |
本研究では,瞬発的な競技や球技など比較的高強度のスポーツ種目に対して効果的な低酸素トレーニング法について明らかにすること,および世界に先駆けて実践することを主な目的として,以下の課題を設定した。 【研究課題1】低酸素環境下における高強度運動トレーニングが生体に及ぼす影響の検討 課題1-1 負荷特性の検討 課題1-2 トレーニング効果の検討 課題1-3 個人差の検討 【研究課題2】高強度な運動形態を有する様々なスポーツ競技者への低酸素トレーニングの応用 このうち,平成15年度は,研究課題1-1と1-2について検討した。 (1)低酸素環境下における高強度運動の負荷特性の検討(研究課題1-1) 低酸素環境下における高強度運動が,常酸素環境下に比べて,生体にどのような異なる影響を及ぼすのかについて検討した。具体的には,健常な男子大学生10名を対象として、自転車エルゴメータを用いた全力ペダリング運動を両環境にて行わせ,その際の発揮パワーおよび筋内酸素動態について比較検討した。その結果,低酸素環境下では,常酸素環境下と同等のパワーを発揮できるものの,全力運動直後の酸素摂取量が低く,筋の酸素化レベルの回復が遅いことから,運動後の高エネルギー燐酸の回復に対する負担が大きい可能性が示された。 (2)低酸素環境下における高強度トレーニングの効果(研究課題1-2) 研究課題1-1で得られた結果をもとに,実際のトレーニング効果について検討した。具体的には,健常な男子大学生12名(低酸素群6名,常酸素群6名)を対象として,8週間のトレーニング前後における発揮パワーの改善率および筋基質の変化などについて比較検討した。その結果,低酸素群は常酸素群に比べて,発揮パワーの改善率が有意に高値を示したことから,全力ペダリングのような高強度運動パフォーマンスの改善に対しても低酸素環境が有効である可能性が示された。
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