2003 Fiscal Year Annual Research Report
虚弱高齢者の身体機能維持のための運動プログラムの開発
Project/Area Number |
15700440
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
池添 冬芽 京都大学, 医学部, 助手 (10263146)
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Keywords | 高齢者 / 体力 / 運動プログラム / 身体機能 / 日常生活自立 |
Research Abstract |
虚弱高齢者や要介護高齢者の介護の重度化を予防するためには、身体機能を維持改善し、日常生活の自立を保つための対策を確立することが重要な課題である。本研究は虚弱高齢者の身体機能を維持するために至適な運動プログラムを開発することを目的とし、本年度は高齢者の日常生活自立に必要な体力レベルの指標作成にあたった。 対象は養護老人ホームに入所している高齢者36名(平均年齢:82.8±5.7歳)であった。日常生活動作能力の評価はFIM(Functional Independence Measure)により、(1)ベッド、椅子、車椅子への移乗(2)トイレへの移乗(3)浴槽、シャワー使用場所への移乗(4)歩行(5)階段の5項目に関して行った。FIMの5項目すべてが完全自立レベルである者を自立群、それ以外の者を介助群に対象者を分類した。体力評価として、膝伸展筋力、握力、30秒間の立ち座り回数、Functional reachテスト、Up & Goテストを測定した。 自立群、介助群それぞれの各体力測定値を比較した結果、握力を除く全ての項目において自立群は介助群より有意に成績が良かった。また有意差が認められた項目について、判別分析を用いて自立群と介助群とを最もよく判別する値を求めたところ、膝伸展筋力の判別値は1.1Nm/kg(判別的中率:74.3%)、立ち座り回数では11.7回(判別的中率:70.8%)、Functional reachテストでは17.4cm(判号的中率:68.8%)、Up & Goテストでは17.1秒(判別的中率:70.1%)であった。 本研究において虚弱高齢者の体力レベルと日常生活自立度には密接な関連性があることが確認され、判別分析により日常生活自立に必要な体力レベルの水準値が明らかとなった。これらは虚弱高齢者に運動療法プログラムを処方する際の具体的かつ簡便な指標になり得ると考える。
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