2004 Fiscal Year Annual Research Report
消防員装具の着用に伴う作業者のヒートストレス改善と被服内気候の最適化
Project/Area Number |
15700457
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
物部 博文 国立大学法人横浜国立大学, 教育人間科学部, 助教授 (30345467)
|
Keywords | ヒートストレス / 消防員装具 / 最適化 / 頭部冷却 / 選択的脳冷却 / 衣服内換気 / 熱平衡方程式 / 体温上昇モデル |
Research Abstract |
火災に対応する消防員の装具は,耐熱性,耐炎性が必要とされるために,必然的に衣服熱抵抗の高い密閉型の衣服となる.この様な密閉型の衣服は,衣服内気候の換気が少なく,発汗による潜熱放散が抑制される.その為に消火活動に伴う人体の代謝による蓄熱を短時間に増大させ,消防士に過度なヒートストレスを与える.このヒートストレス対策として,東京消防庁では,両脇下部および後背部の衣服内ポケット,あるいは冷却ベスト内へ冷却剤を収納する方法によってヒートストレスを緩和している.しかし,これらの冷却方法について検討した報告は少なく,充分な評価がなされているとは言い難い.実際,我々の実験では,体幹部の局所冷却による体温抑制効果は小さいこと,さらに頭部の温度上昇が認められ,それが被験者に不快感を与えることが認められた(報告済).これに対して、頭部を冷却することが,消防員装具着用時のヒートストレスを緩和し,消防員の快適感を得るための有効な方法であると考えた.そこで我々は,先述した消防員装具の着用実験による評価方法を用いて,冷却剤を用いて頭部を冷却する方法と送風ファンを用いて頭部における気化熱放散を促進させる方法という2つのヒートストレス対処法について,消防員装具の通常着用と比較し,その効果を検討した.その結果,頭部を送風することがヒートストレスの逓減に有効であることを明らかにした(報告済).さらに,モーターファンを2つ利用して衣服内飽和水蒸気を衣服外の空気と置換することによって発汗による放熱を促進することによって効果的に体温上昇が抑制されることを明らかにした(論文作成中)。 また,さらに実際の消防活動時にどの程度,人体への蓄熱があるのかをRMRから推測し,体温上昇をモデルで示すことを一般家屋火災と林野火災でモデル化することを試み報告している(報告済)。 今年度は,実際に消防隊員がヒートストレスを生じた環境条件を調査から再現し(シナリオ化)、被験者の体温がどの程度上昇するのかを明らかにした。さらに熱平衡方程式を用いて体温上昇を抑制するための最も効果的な要因について検討した(報告済)。さらに、同条件下でのストループ負荷の反応時間、エラー出現率をチェックすることで、消防隊員にかかる負荷を予測することを試みた。 次年度は、熱平衡方程式による解析から得られた体温上昇の抑制要因(いかに飽和水上気圧を低下させ、発汗を効果的にするか)について具体的にどの程度の風量、方法が適切かを検討する。
|