2004 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者における「役割」の意義に関する実証研究-「役割」の功罪-
Project/Area Number |
15700461
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
木村 好美 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 講師 (90336058)
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Keywords | 高齢者 / 社会階層 / 役割 |
Research Abstract |
高齢者における「役割」の意義を考察するため、 (1)家庭内・就業上・地域社会などで担うさまざまな役割が、高齢者の意識や行動をどのように規定するのか、どのような役割が高齢者に「生きがい」や存在理由、満足感を提供し、どのような役割が高齢者にとって負担となるのか。 (2)負担となる役割は、収入や資産など社会階層要因により回避可能なのか。 (3)社会参加活動は高齢期特有の役割喪失(感)を補填しうるのか。 という3つの視点から、後期高齢者を対象とし、経済状況・健康状況・社会活動状況、その他介護や孫の世話などさまざまな役割について詳細に質問している東京都老人総合研究所・ミシガン大学共同プロジェクト「後期高齢者の資産と健康に関する全国調査(AHEAD調査)」(1999年に日米両国で第1回目の調査が、2002年に第2回目の調査が実施された)の調査データの分析を行った。その結果、 (1)ボランティア活動および旅行・外食・趣味や稽古ごとなどの余暇活動をしている人ほど生活満足度が高い。 (2)ボランティア活動および旅行・外食・趣味や稽古ごとなどの余暇活動の実施ともっとも関係の深い階層要因は教育年数であり、教育年数が高いほどボランティア活動や旅行・外食・趣味や稽古ごとなどの余暇活動に参加している。 (3)家事や家族の介護・看病の実施は生活満足度を高めない。 (4)家事や家族の介護・看病の実施の有無と階層要因に強い関連は認められない。 ということが明らかになった。これらを総合すると、社会参加活動は高齢期特有の役割喪失(感)を補填しうる要因と考えられ、今後詳細に分析を行っていく必要があると言えるが、負担となる役割と階層要因の関連は見出し難く、家事や介護の問題は階層要因のみで解決できる種類の問題ではないと考えられる。
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