2003 Fiscal Year Annual Research Report
適正な栄養補助食品の利用に関する研究:ビタミンB6について
Project/Area Number |
15700473
|
Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
松原 主典 岡山県立大学, 保健福祉学部・栄養学科, 助手 (90254565)
|
Keywords | ビタミンB6 / 胚性幹細胞(ES細胞) / 血管新生 / 血管形成 / 血管発生 / DNAトポイソメラーゼ / ピリドキサール5'-リン酸(PLP) / ピリドキサミン(PM) |
Research Abstract |
ビタミンB6の大腸がんや糖尿病合併症の予防効果が注目されている。がんの成長や糖尿病性網膜症には血管新生が重要な役割を果たしており、我々はビタミンB6には血管新生抑制作用があることを見い出した。一方、個体発生時に高濃度ビタミンB6暴露を受けると神経系に重篤な障害を受けることが報告されている。そこで、本研究では、ビタミンB6を栄養補助食品として利用する際の安全性について研究を行った。本年度は、発生時における高濃度ビタミンB6暴露の影響を検討する系として、マウス胚性幹細胞(ES細胞)を用いた血管発生モデルで検討した。 既に開発していたES細胞からの血管形成系を改良し、より効率的な血管形成系を確立した。この方法を用いてビタミンB6の影響を検討した。その結果、主要な活性型ビタミンB6であるピリドキサール5'-リン酸(PLP)は100μM以上で血管形成を抑制した。同一濃度(200μM)でビタミンB6化合物の作用を比較検討した結果、ピリドキサール(PL)はPLPとほぼ同程度の作用を示した。また、最近糖尿病合併症の予防に有効であることが示されたピリドキサミン(PM)がこの系で血管形成抑制作用を示した。PMは既に分化した血管内皮細胞や動脈片を用いた血管新生系で抑制作用を示さないにもかかわらず、幹細胞から血管形成系を抑制したことはPMの糖尿病合併症抑制作用機構の一つとしての血管形成抑制作用を示唆するものである。一方、ピリドキシン(PN)は抑制作用を示さなかった。PLPの血管形成抑制機構として、細胞分化にもその重要性が最近示されたDNAトポイソメラーゼを阻害することを見い出した。 今後は、発生系モデルとしてES細胞からの神経形成系の確立を試み、神経系への直接の作用を検討したいと考えている。一方、糖尿病合併症予防効果が示されているPMの作用機構や安全性についても検討する。
|
-
[Publications] Matsubara, K., Matsumoto, H., Mizushina, Y., Lee, J.S., Kato N.: "Inhibitory effect of pyridoxal 5'-phosphate on endothelial cell proliferation, replicative DNA polymerase and DNA topoisomerase."International Journal of Molecular Medicine. 12. 51-55 (2003)
-
[Publications] Matsubara, K., Komatsu, S., Oka, T., Kato, N.: "Vitamin B6-mediated suppression of colon tumorigenesis, cell proliferation, and angiogenesis."Journal of Nutritional Biochemistry. 14. 246-250 (2003)
-
[Publications] Mizushina, Y., Xu, X., Matsubara, K., et al.: "Pyridoxal 5'-phosphate is a selective inhibitor in vivo of DNA polymerase α and ε."Biochemical and Biophysical Research Communications. 312. 1025-1032 (2003)