2003 Fiscal Year Annual Research Report
乳清タンパク質の高温加熱時における凝集体体形成に関する研究
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15700483
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Research Institution | Kurashiki Sakuyo University |
Principal Investigator |
和田 律子 くらしき作陽大学, 食文化学部, 助手 (30351935)
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Keywords | β-ラクトグロブリンA(βLGA) / 乳清タンパク質 / 密封系で高温過熱 |
Research Abstract |
食品加工時の殺菌温度120℃付近において乳清タンパク質の主要成分β-ラクトグロブリンA(βLG A)を加熱した時のβLG Aの構造変化を調べた。10mg/mlのβLGAまたは遊離のSH基をSH基修飾試薬N-エチルマレイミド(NEM)で修飾したNEM-βLGAを密封容器に入れ、80-180℃まで6℃/分で加熱し冷却後、0.25mg/mlに希釈して200-250nmの円二色性分光計(CD)スペクトルを測定し、二次構造に変化が見られるのかを検討した。その結果、SH基の反応性が低い酸性βLGAとSH基が修飾されている中性NEM-βLGAにおいて120-130℃でCDスペクトルの負の極大が低波長側へシフトした。フーリエ変換分光計(FT-IR)による測定結果からも120-130℃にかけてタンパク質のβシート構造を反映するピークのシフトが見られた。よってβLGAは120℃付近で何らかの構造変化を起こすことが明らかとなった。 次に120℃付近における加熱温度とゲル物性の関係を調べた。凍結乾燥させた乳清タンパク質を10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)に溶解し、タンパク濃度70mg/ml、NaCl濃度0.1Mとし、110-140℃で30分間加熱した。texture analyserを用いてゲル物性を測定した結果、ゲルが高さの20%圧縮されるのにかかった力は110-120℃では約2g、125-135℃では約4g、140℃では約8gとなり、2回目の圧縮においても同様の結果を示した。よって乳清タンパク質を密封系で高温加熱して形成されたゲルは120-125℃、135-140℃で物性が変化することが明らかとなった。この結果は先のCD、FT-IRによる測定において構造変化が見られた温度域と一致し、βLGA の構造変化に伴いゲル物性も変化することが明らかとなった。
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