2003 Fiscal Year Annual Research Report
豆乳・牛乳混合系からの共沈カードの形成とそのメカニズム
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15700486
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Research Institution | Tokyo Metropolitan College |
Principal Investigator |
渡邊 容子 東京都立短期大学, 健康栄養学科, 助手 (00240531)
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Keywords | 豆乳 / 凝固 / プロテアーゼ |
Research Abstract |
【目的】大豆タンパク質と牛乳タンパク質を共沈させ、豆乳と牛乳の混合系からカードを得る方法のひとつに酵素法がある。そこで白カビチーズに用いられるPenicillium caseicolumの産生する菌体外プロテアーゼを凝乳酵素として使用できる可能性、カード形成の最適条件の検討を行った。さらに、最適な条件で製造を試み、熟成中の成分変化等について調べた。 【方法】試料は白目大豆鶴の子を用い、常法にて10倍加水豆乳を調製した。乳試料としては、低温殺菌乳、脱脂乳などを用いた。乳酸菌スターターには、Streptococcus thermophilusを使用した。P. caseicolumの酵素試料は、ふすま培地より調製した粗酵素液より得た透析内液(硫安画分30-80%)を用いた。豆乳、牛乳および混乳への凝乳性をレンネット試験法に準じて測定した。混乳カードは、乳酸発酵後凝固前に酵素液を加え、カードを形成させた。カードを熟成させ、熟成中の水溶性窒素、トリクロロ酢酸可溶性窒素(TCA-N)、遊離グルタミン酸量などについて測定した。また、タンパク質の変化は、SDS-PAGEを用いて検討した。 【結果】P. caseicolumより抽出した菌体外プロテアーゼ系は、豆乳、脱脂乳および混乳に対する凝乳性が認められた。また、混乳に対しては、豆乳の混合比が高くなるほど、凝乳時間が長くなる傾向が確認された。この傾向は、乳試料の殺菌条件の違いによる差は認められなかった。ことから、混合比1:1および4:1の混乳を用いてチーズよう食品の製造を試みた。熟成中の水溶性窒素およびTCA-Nの変化は、熟成に伴い上昇し、熟成7週目には50%近くにもなり、順調な熟成を示した。また、旨味成分である遊離グルタミン酸量も熟成とともに上昇し、グルタミン酸の閾値の約4倍まで達した。熟成に伴い、牛乳タンパクであるαs-カゼイン、β-カゼインや大豆タンパクのβ-コングリシニンなどの各サブユニットが分解していることが確認された。
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