2003 Fiscal Year Annual Research Report
メタ認知開発に焦点を当てたコミュニケーション活動の改善に関する実証的研究
Project/Area Number |
15700493
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
山下 修一 千葉大学, 教育学部, 助教授 (10272296)
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Keywords | メタ認知 / コミュニケーション活動 / 改善 / 発話分析 |
Research Abstract |
本研究は,メタ認知開発という観点から,新たなコミュニケーション改善の手法を考案し,その有効性を実証することを目的としている.本年度は,既にグループコミュニケーションを通じてメタ認知を育むことを目的として開発されたASK to THINK-TEL WHY_【○!R】【○!C】とCUP(conceptual understanding programme)参考にして,新たなコミュニケーションプログラムを開発し,大学生18名(男11名・女7名)を対象にして試行した.その結果,課題が「何の問題」なのかは正しく捉えることができていたが,グループの結論が正解に導かれたわけではなかった.しかし,発話内容を分析してみると,役割分担したコミュニケーション活動では,要約・条件・改善といったより高次の発話が有意に多くなっており,その後のコミュニケーションでも確認や修正が有意に多くなっていた.そして,活動を通して振り返りの重要性も認識されていた.これらのことから,開発したコミュニケーション活動は,メタ認知開発を促したと言えよう.また,動機や意欲を高め,コミュニケーション活動そのものも肯定的に受けとめられた.ただし,先行研究で見られた冷静な判断や客観性の向上が見られず,これは新たに導入したチェックリストや役割分担によって明確に述べられた各自の意見が,多くの誤概念を含んでいたためだと考えられる. 今後の課題は、今回の知見をもとにして、実際の理科授業に適用可能なワークシートを開発し,試行することである.その際には,コミュニケーション活動後にも継続してメタ認知的発話がなされるかどうか検討したい.そして,冷静な判断や客観性を損なわないために,課題に対する十分な知識を獲得させたり、何のための実験なのかを明確にさせたりしてからコミュニケーションにのぞむなどの更なる改善を加えたい.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 山下 修一: "メタ認知開発に焦点を当てたコミュニケーション活動の改善"日本科学教育学会論文集. 第27回年会. 369-370 (2003)
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[Publications] 山下修一, 川野治一: "エキスパートの経験がその後のコミュニケーションに及ぼす影響"科学教育研究. 27巻2号. 101-110 (2003)
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[Publications] Shuichi YAMASHITA: "Difficulties in Students' Judgments When Working in Pairs"Journal of Science Education in Japan. Vol.27,No.4. 292-307 (2003)