2004 Fiscal Year Annual Research Report
植物珪酸体分析による完新世の雪田植生の詳細な動態復元
Project/Area Number |
15700541
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
苅谷 愛彦 千葉大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (70323433)
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Keywords | 植物珪酸体 / 完新世 / 多雪山地 / 第四紀 / 環境変動 |
Research Abstract |
1.年度前半は,前年度までの成果をさらに補強するために以下の調査・分析を行った.(1)タケ亜科植物(チシマザサ属以外のものを中心とする)現生試料からの植物珪酸体の抽出.(2)調査地の拡大と多量の試料採取.(3)昨年度に制作したプレパラートの整理.このうち(1)については,スゲ属やノガリヤス属からの植物珪酸体の抽出を新たに試みた.この結果,各属に共通する形態と各属固有の形態のいずれもが抽出された.それらの古植物生態学的な応用可能性は現在検討中である.(2)については,飛騨山脈白馬岳(標高2700m)周辺や越後山地・越後駒ヶ岳(2000m)周辺のほか,多雪山地との比較のために寡雪な関東山地・丹沢山地周辺(1500m)での調査を主に行った.これらの地域では,研究代表者が過去数年間以上にわたり地質調査を平行して実施してきており,相当効率的な調査と試料採取が行えた.また土壌試料採取と平行してテフラ編年用資料(火山灰)も採取した. 2.年度後半には,テフラを含む野外試料の室内分析を集中的に行った.その際,研究レビューを参考に,植物珪酸体分析法の見直しや改良にも挑んだが,画期的な手法の開発には至らなかった.また分析は研究代表者が単独で行っていることもあり,その処理率(達成率)は当初の見込みより低いまま年度を終了した.今後,残りの試料分析に努めたい.なお,テフラ編年用資料の分析には千葉大学理学部に科学研究費(研究代表者:宮内崇裕助教授)で導入された温度変化型屈折率測定装置を用いることができ,テフラに関する新たな知見が平行して得られた.また査読付国際誌に投稿中だった山形県月山の雪田植生を扱った英語論文が受理された.
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Research Products
(2 results)