Research Abstract |
本研究の目的は,山地流域全体の地形形成プロセスを把握することを視野におきながら,特に流域最上流部の地形変化速度の速い地域の地形変化を二次元的にとらえ,そのプロセスをモデル化することである.そのために,初年度である今年度は主に,駒澤大学における研究環境の整備と,基礎となるDEMおよびオルソ画像データの作成を,山地域の代表として山梨県雨畑川流域,丘陵地域の代表として群馬県岩野谷丘陵について行った. まず,駒澤大学における研究環境の整備については,写真測量用のコンピュータおよびソフトウエアを導入し,大学内でデジタル写真測量を行うことが出来るようになった.また,このようにして作成したデータの効果的利用や,学内の電子地理情報データの共有を目的として,大容量データサーバ(約1テラバイト)を構築した. 次に,雨畑川流域の解析では,地形計測学的視点から日本における山地地形の遷移帯の標高に位置する雨畑川流域の地形発達上の位置付けを明らかとし,地形形成営力としての崩壊の発生状況に地形との関連性を見出すことに成功した.このことは,これまで形態的および量的に関連付けることが困難であった地形に関連する現象について,その関連性を定量的に導いたという点で,地形計測と地形発達史的研究の上で重要な成果であると考える. また,岩野谷丘陵の解析では,谷バターンおよびそこに分布する0次谷の形状・面積などが,地質などそれを規定する要因とどのような関係を持っているかについて検討することができた. そして,丘陵内の地形を4パターンに区分することに成功した. 得られた結果は,既に学会発表などを通して公開している.また,研究代表者(田中)は,これらの成果を含める形で,東京大学に学位論文を提出し,現在審査中である.来年度は,さらに研究を前に進めつつ,これらの成果についても原著論文としてまとめていく予定である.
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