Research Abstract |
本研究は,住民の音環境に関する意識に基づいて,地域音環境マネジメント手法を構築することを目的とする。地域音環境についての住民意識の検討のため,京都市の伝統的織物産業地域を主な事例地域として,16年度は以下の調査研究を実施した。 ●既往調査結果の再分析:過去に京都市N地区等において実施した音環境に関する自由記述質問紙調査結果を再分析した。その結果,音環境に関する住民の記述に影響を与える要因としては,物理的な音環境のほかに,地域音環境が置かれている文脈が重要であることが知られた。その文脈としては,(1)地域音環境の経時的文脈,(2)音源の社会的文脈,(3)地域住民間の社会的文脈,の3要素が見出された。この結果については,inter-noise 2004(国際騒音制御工学会)において報告した。 ●新規調査地区における予備調査の実施:下請けの製織業者が集中的に立地し,N地区とは異なった社会的背景を持つK地区において,予備調査を実施した。地区住民に対する聞き取り調査によって,地域の音環境の現状および歴史について知見を得た。また,地区内の現在の音環境の観測をおこない,地区内の製織状況および音環境の実態について概観した。これらにもとづいて,質問紙調査等の計画を立案し,地区住民と協議した。 ●織物工業組合,京都市等の統計資料を収集し,地域の歴史および製織実態の推移について調査した。 また,音環境マネジメントに関連する文献を収集するとともに,国際騒音制御工学会等に参加し,これまでの知見と今後の課題について総括した。また,ランドスケープ研究および環境社会学の分野における関連文献を収集し,音環境マネジメントへの応用の可能性を検討した。
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