2003 Fiscal Year Annual Research Report
酸素安定同位体比を用いた、集水域の生物活性モニタリング法の開発
Project/Area Number |
15710037
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
陀安 一郎 京都大学, 生態学研究センター, 助教授 (80353449)
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Keywords | 溶存酸素 / 酸素安定同位体比 / 生物活性 / 光合成 / 呼吸 / P / R比 / 拡散 / モニタリング |
Research Abstract |
集水域のモニタリングをする上で、生物活性にリンクするもっとも基本的なパラメータは「光合成Photosynthesis」と「呼吸Respiration」である。その比(「P/R比」)は生物活性の総和の指標の一つと考えることができる。本研究は、自然生態系・人工生態系の合わさった集水域(河川から湖)における生物による生産・物質分解過程を、溶存酸素同位体比の厳密分析によって、微細に測定することを目指す。ここで用いる理論的基礎は、δ^<18>Oの質量依存的同位体効果、およびΔ^<17>Oの質量非依存的同位体効果である。本年は、まず溶存酸素のサンプリングのために最適である高真空コックを装備したガラス瓶を制作した。そして、溶存酸素を抽出する真空ラインを制作した。さらに、質量分析計につながる前処理システムの設計を行った。具体的には、溶存気体を真空ライン上で拡散により取出し、モレキュラーシーブ5Aカラムを用いたガスクロマトグラフィーにより窒素分子と分離して酸素分子を測定する方法を検討した。溶存酸素同位体比(δ^<18>OおよびΔ^<17>O)のスタンダードに関して、国内の研究者とワーキングスタンダードを交換して測定精度を検証した。本年度の終わりからは琵琶湖の鉛直プロファイルのサンプリングを始めた。本研究は特に地域に特化した研究ではないが、生物生産/分解系を扱うのにもっとも適しており、さらに近年問題になっている琵琶湖底層の溶存酸素の減少問題にも関係すると考えられるからである。本サンプリングでは、同時にインキュベーションによって酸素消費速度を定量して、P/R比のパラメータとしての有効性を検証している。16年度には、これらの手法を用いてモデル河川でも現場観測を行い、生物環境に対する人間の負荷を生態学的にモニタリングする手法を開発する予定である。
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