2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15710063
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
押川 英夫 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (80311851)
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Keywords | 波浪エネルギー / 漂砂 / 非対称構造物 / 海岸侵食 / 波浪残差流 / 地行浜 |
Research Abstract |
著者は,小規模非対称構造物を海底に設置することにより底質の移動に起因した諸問題に対処する技術(BaNKシステム)の研究開発を行っている.本年度は室内実験に基づく基礎的検討と,現地試験に基づく検討を行った. まず非対称形状を有する半円筒型粗度の抵抗特性について実験的に検討を行った.その結果,構造物の非対称性によって付加される抗力と慣性力により残差抵抗力が生じること,非対称構造物の形状(ここではアスペクト比)によって,抵抗特性が異なることが明らかとなった.また非対称構造物に海草が繁茂しても,抵抗力の波形の概形は殆ど変化せずピーク付近の絶対値のみが増加し,残差抵抗力の減少や向きの逆転は起きないことが明らかとなった.従って,長期間の構造物の海底設置に伴う海草の繁茂は本システムに深刻な影響を及ぼさない. 本研究では実際に海浜変形の問題を抱える実海域に本システムを適用し,その有効性と効果的な適用方法を検討する現地試験を実施している.今回現地試験海域として選定された博多湾に面する地行浜では,ポケットビーチ内に入射する波浪によって海浜変形が生じているが,毎年改修工事を行うことにより海浜形状を復元しており,実質的に1年という短いサイクルで海浜変形が生じている.従って,実海域では殆ど期待できない再現性(あったとしても一般に確認不可能である)がある程度期待できる好都合な海域であり,本システムの特長である「調整可能」という点を利用して,本システムの効果を再現性まで踏まえて検討することができる.本研究ではこうした地行浜の背景をうまく利用することで,一般に困難な漂砂制御技術の現地試験を行った.現地試験の結果から,実海域においても本システムにより底質移動の制御が可能であることが確認された.
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Research Products
(2 results)