2003 Fiscal Year Annual Research Report
水中の内分泌攪乱化学物質を除去する球状発泡担体の合成と除去プロセスの開発
Project/Area Number |
15710069
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Research Institution | Ube National College of Technology |
Principal Investigator |
山崎 博人 宇部工業高等専門学校, 物質工学科, 助教授 (20300618)
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Keywords | シクロデキストリン / ホスト・ゲスト分子 / 内分泌攪乱化学物質 / フェノール / リアクター / 高分子担体 / ジイソシアナート化合物 |
Research Abstract |
1.研究目的 水中の環境ホルモンを除去する機能を有し、再生が可能で、使用済み・廃棄の際には生分解性を有する高分子担体の合成法を確立することと、本担体を充填したリアクターを開発することが本研究の目的である。 2.原理 シクロデキストリン(CD)は、水中では内分泌攪乱化学物質(環境ホルモン)を化学吸着作用により分子内に取り込み、アルコール中では取り込んだ環境ホルモンを放出する。水に溶けないようCDを高分子化した担体は、環境ホルモンを効率よく除去し、アルコールでの担体の再生を経て、再利用することが可能である。 3.研究成果 実験 触媒の存在下、CDをジイソシアナート化合物によって架橋した担体をφ0.05mm未満にまで粉砕した。この微粉末とアルギン酸ナトリウム水溶液からなるペースト状混合物を塩化カルシウム水溶液上に滴下し、球状に成形した。この球体を乾燥後、ジイソシアナート化合物の存在下で加熱して再架橋反応を施し、CD成分からなる球状発泡担体(球状造粒子体)を調製した。環境ホルモンを含んだモデル水溶液として、8.9wt%高濃度フェノール水溶液を用いて球状造粒子体のフェノール除去能力を評価した。 結果 調製した球状造粒子体は、一般に工業的に取り扱い易いとされる直径φ3mm前後の大きさをもっており、リアクターの担体として幾度も再利用可能な圧縮強度2.46MPa、高い物質透過性を示す気孔率47%、優れた包接能につながる比表面積3.48m^2/gを有しており、リアクターの担体として十分応用可能な諸性質を示した。三角フラスコ中、モデル水溶液5mLに対し1gの球状造粒子体を添加して室温で撹拝し、バッチ試験における球状担体の性能評価を行った。2時間後の残留フェノール濃度は0.98wt%であり、89.0%のフェノール除去率を達成した。また、メタノール中で再生した担体を用いても、担体性能に低下は認められなかった。 4.今後の課題 除去・再生プロセスを組み込んだリアクターの試作と、リアクターの最適設計・運転指針の確立が今後の課題である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 山崎博人, 田村光昭, 品川恵美子, 村上定瞭ほか: "工業廃水中EDTA鉄(III)キレート分解処理用バイオリアクターの開発"環境技術. (2004)
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[Publications] 巻幡陽介, 山崎博人: "シクロデキストリン架橋担体による水中の高濃度フェノール成分の除去"2003年日本化学会西日本大会講演予稿集(10月25-26日,広島大学). 171 (2003)
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[Publications] H.Yamasaki, Y.Makihata, K.Fukunaga: "Effcient Phenols Removal of Wastewater from Phenolic Resin Plants using Crosslinked Cyclodextrin Particles"16th International Congress of Chemical and Process Engineering CHISA 2004 (22-26 August, Praha - Czech Republic). (2004)
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[Publications] H.Yamasaki, Y.Makihata, K.Fukunaga: "Preparation of Spherical Porous Crosslinked Cyclodextrin Polymers and Their Application as a Sorbent for Phenols Removal of Wastewater"16th International Congress of Chemical and Process Engineering CHISA 2004 (22-26 August, Praha - Czech Republic). (2004)